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ずっと君のために走る私は
君が生んだプログラム
君が羽をつけてくれたプログラム
留まらずに 常に新しいアルゴリズムを思考し続けよ
~ ランジュミー(1988年)
第2章 冬の言語
「田中マリオ・・・あの方が帰ってきました!」
>>1の顔が瞬時に冷たく変りそして固まった。
「そう、そうなのか・・・・・・」
>>1は母の話に実感が湧かなかった。
頭の中をあいまいに漂っていた予感がいきなり既定の事実化されたことによる衝撃といえるだろうか。
彼は妹の視線も感じることが出来ないままゆっくり、まるで他人事のように繰り返して言った。
「マリオが・・・帰ってきた・・・・・・」
雨を含んだ風が2人の頭の上でゆっくりと翼を羽ばたいていた。
一つずつ、濡れた灰色の羽毛が落ちてきた。
マリオは田中家のパソコンを起動させた。それはVAIOのPCV-RX50だった。
突如パソコンはビープ音を上げた。
いつもは>>1が気楽に戯れ合うことのできるいいパソコンだが今は違った。
「はっ、こいつ!久し振りだからとは言えこの俺のことをもう忘れたというのか。くそPCめ。」
すらりとした背に腕が並外れに長い男だった。
浅黒い顔は南方の強い日差しに焼けたというよりは実在するある種の闇に染まったような沈鬱な色であった。
しわだらけの目じりの内側に黄みを帯びた虹彩を持つ眼はワニの皮にはめてある装飾の石のようにぎらついていた。