06/08/06 12:21:44 Wkj9PxfC
「電波は誰のものか」
興味深いのは、米連邦通信委員会が放送のデジタル化を「電波は誰のものか」という問いを
改めて問う絶好の機会と捉えているということだ。
放送のデジタル化に際して、アメリカの放送業者は、新しく割り当てられたデジタルチャ
ンネルと従来のアナログチャンネルの両方を数年間並行して使用することになっている。
この移行期間の後は、これまで使用していたアナログチャンネルを返還し、デジタルチャ
ンネルで放送することになる。返還されたアナログチャンネルは競売にかけられ、その収入
は政府の財政均衡のために使われる。
米政府はこの競売に263億ドルの収入を見込んでいる。もしこの額に満たなかった場合は、
不足分をデジタルチャンネル使用料として放送業者から徴収することも考えているといわれる。
電波を競売にかけて、収入を財政赤字の補填に充てるという発想は意表をついている。なおか
つ、その収入が予定より下回ったら放送業者からその分を徴収するという考えはさらに驚かされる。
電波は公共のものだ、だから使用する者が公共の利益のために使うよう、様々な規制で縛る
というのがこれまでの考え方だった。電波は公共のものだ、だからそれをできるだけ高く売って、
その売上で納税者の負担を軽くするという発想には驚きを禁じ得ない。高く売れなかった場合は、
予定した値を下回る分だけ放送業者からまた別途取り立てるという考えには仰天してしまう。
電波は放送業者のものではない、にもかかわらずそれを使って営利事業をしているのだから、
相当の代価をこの際にはっきりとした形で支払ってもらうという連邦通信委員会の強い姿勢が
うかがえる。
いつもならば、放送業者の方も議会工作や米連邦通信委員会へ公聴会の要求を通じて反撃を
試みるのだが、今は時期が悪い。今は新たなデジタルチャンネルの割り当てを米通信委員会から
受けなければならない時だ。アメリカの放送業者は、デジタルチャンネルを人質にとられて、
一方的に守勢に立たされている。
このように、放送のデジタル化は、公共の電波を放送業者からひとまず政府に返還させると
いうという役割を果たしている。電波を返還された政府は、再び放送業者割り当ててしまう前に、
それを公共の財源とするための制度の確立を急いでいる。
放送のデジタル化がアメリカにもたらすものは、公共の電波の競売による新しい財源であり、
そこに見られる公共の電波に対する新しい考え方だといえる。
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