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和歌山市の紀の川に架かる「六十谷(むそた)水管橋」(長さ約550メートル)が崩落し、市北部約6万世帯(約13万8000人)が断水している問題で、尾花正啓市長は6日、崩落を免れた部分について、水道管をつり下げる橋の部材(つり材)4本で腐食による破断を確認したことを明らかにした。市は海風や鳥のふんなどでつり材の腐食が進んで破断し、水管橋が落下した可能性があるとみている。点検で腐食や破断を見落としていたとみられ、尾花市長は「きちんと点検できていれば防げたのではないか」として管理の不備を認めた。
【つり材が破断した水管橋】
橋はアーチ橋と水道管が一体となった構造。太いアーチ状の部材から垂直に下げた最長8・5メートルのつり材で、水道管(直径約90センチ)2本を支えている。3日午後3時45分ごろ、橋の中央部約60メートルが部材や水道管ごと崩落した。
市が6日にドローンなどで橋を詳しく調べたところ、崩落部分の北側区間でつり材4本が破断しているのを確認した。つり材は太さ約14センチ、厚さ約4ミリの中空の鋼管。破断は補強材を取り付けた接続部分の上下で起きていた。また、昨年12月にグーグルマップのストリートビューで撮影された崩落部分の画像では同様に複数箇所で、つなぎ目が切れているように見える。
六十谷水管橋は1975年完成で耐用年数の48年を2023年に控えていた。6日に市の依頼で現場を視察した専門家は「つり材の切断が崩落原因の一つとみられる」とし、腐食原因については補強材の隙間(すきま)には塩分や鳥のふんなど異物がたまりやすい点を指摘した。
◇「人が通る橋に比べ点検甘かった」
市はこれまで「月1回の点検で異常はなかった」と説明していた。ただ、毎月の点検は約40メートル東の県道の六十谷橋から漏水を確認する程度。水管橋の通路を歩いて点検するのは年1回で直近は5月だったが、軽度の腐食は確認したものの緊急性があるとは判断していなかった。水管橋は通常の道路橋より足場が狭く、破断部分も約3・5メートルの高所にあったが、双眼鏡などは使っていなかったという。尾花市長は「人の通る橋に比べて点検が甘かった」と述べた。
橋の構造などに詳しい神戸大大学院の鍬田泰子准教授は「1カ所が破断するとバランスが崩れ、他の部材に過度な荷重が作用して衝撃的な崩壊につながりうる」と説明。「残っている橋のつり材にも破断が確認されており、それらもいつ崩落してもおかしくない。補修は難しく、架け替えなど他の手立てで復旧することが必要になる」と指摘した。尾花市長は「この壊れた橋で本格復旧を図るかは未定」とし、本格復旧まで長期化する恐れが出てきた。【山口智、加藤敦久】
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