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「演歌」と呼ばれる歌は、その最初は19世紀末の自由民権運動の時代に遡る。
藩閥政府に反発する公開演説会に対する当局の監視が強くなった時、
圧力をかわすために政治を風刺する歌(プロテストソング)として「演説歌」が生まれた。
有名なものに、ダイナマイト節や川上音二郎のオッペケペー節がある。
やがて、20世紀に入るころには自由民権運動も一段落し、演説歌の内容にも変化が訪れる。
題材が政治に対するプロテストから社会問題に関する風刺に代わってゆくとともに、ヴァイオリンでの伴奏が導入されるなど、芸人の要素を強めてゆく。
また、担い手も政治運動を生業とする壮氏から書生によるアルバイトに移行するなど、より商業的な存在にもなってゆく。
この時期の作品としては、しののめ節、ラッパ節、ハイカラ節などがある。
やがて、昭和初期にレコード歌謡の市場が完備されると演歌師の活動にも打撃が与えられ、盛り場で「流し」をして生計を立てるのが一般的になる。