21/07/15 12:06:48.93 TX37vzKg.net
リリト(Lilith or Lilit)
リリトがアダムの最初の妻ということになったのは、昔のラビたちがシュメール・バビロニアの女神ベリティリあるいはベリリをユダヤ人の神話に吸収しようとした、その名残りだった。カナアン人にとって、リリトはバーラトという名の女神であり、ウルから出土した紀元前2000年頃の粘土板では、リリトはリルラケと呼ばれていた。
へブライの伝承によると、アダムは獣たちとの交合に飽きて、リリトと結婚したという。獣たちとの交合は、旧約聖書では罪と断定されているが(『申命記』 27:21)、当時の中東の牧夫たちの間では、普通に行われている風習だった。アダムは力づくでリリトを自分の下に横たわらせ、男性優位の社会で良しとされている例の「宣教師流の体位」をとらせようとした。イスラム教徒たちは、性交は男性が上の形で行われなければならないと強く主張していたから、「女を天にし、自分を地にする男は、呪われてあれ」とまで言った[2]。カトリック教会筋も、男性上位以外の性交姿勢は、すべて罪であると言った[3]。しかし、リリトはイスラム教徒でもカトリック教徒でもなかった。彼女はアダムの粗暴な性行為を冷笑し、アダムを罵り、彼のところから逃げ出して、紅海の近くに住みついてしまった。
神は、天使たちを派遣して、リリトを連れ戻そうとした。しかし、リリトは天使たちをも罵り、神の命令を無視して、「デーモンたち」と交合して時を過ごし(彼女にとっては、デーモンたちとの性交の方が楽しかったようである)、毎日100人の子供を生んだ。そのため神は、リリトの後釜として、リリトよりも従順なイヴを作り出さなければならなかった。
リリトの多産性とその性的な好みからして、リリトは、アダムによって代表される遊牧民の侵略に抵抗した定住農耕部族の太母であったことがわかる。初期のヘブライ人たちは、牧者アベルが農業と鍛冶を司る年長の神カインによって殺されたあとで(『創世記』4:11)、アベルの血を飲んでしまった太母リリトを嫌っていた。しかし、リリトの「紅海」は、カーリー・マーの「血の大海」の異形であり、「血の大海」は、万物を生み出すと同時に、供犠によって定期的に血を補充される必要があったのである。