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>>429
758 名無し草 [sage] 2021/03/23(火) 14:17:05.67 ID:Ufw31pQ+
>>757 続き
ただ、都築の言葉は「感動」だけでは済まない。続けて、こうも言う。
「自身をきちんとコントロールして滑っておりましたが、私からしたらちょっと物足りない感じがしました。
それはやっぱり、ひとりでやっていた弊害だと思います。指導者の目がないと、本人は目いっぱいやっているつもりでも、気づかない部分があるんです。
例をあげれば、ジャンプを跳ぶ前のスピードがいつもより遅い。降りてからの流れがわずかに詰まる。
演技自体は、ああいう形にまとめましたから、終わりよければすべて良しではあります。でも、羽生は、もっともっとできる選手なんです。
ショートで、スピンがカウントされませんでしたが、あれはレベル云々ではなく、ルールに則っていなかった。
自分ではやっているつもりだったと思いますよ。私も夢中で見ていて、最初はわかりませんでした。点数を見て、『あれっ?』と思ったぐらいで。
羽生もそうだったのではないでしょうか。たぶん、自分でもびっくりしたと思います。
本来なら、まったく考えられないですからね。彼にとって、レベル4は当たり前。ましてやスピンなんて、もう本当に。
練習に指導者がついていたら、あんなことは起きなかったと思います」
全日本選手権で、羽生はショートプログラムを「Let Me Entertain You」、フリースケーティングを「天と地と」で踊った。
その演技に、私は魅せられた。圧巻だったと思う。
蛇足だが、海音寺潮五郎の『天と地と』(文春文庫)は、「羽生選手のおかげで増刷になった」そうである。魅せられた人の多さを物語るエピソードだ。
「物足りない」と語る、あるいは語れるのは、都築章一郎くらいではないか。
羽生結弦は、都築の強いプライドだ。大きな喜びだ。師は徹底的に、愛弟子を信じている。すなわち、羽生は、「もっともっとできる選手」なのだ。