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“男性特有の匂いが嫌い”や“おじさん詰め合わせ”は「差別発言」指摘も…男性への「ヘイトスピーチ」とはいえない明確な理由 | 弁護士JPニュース
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弁護士JP編集部
2024年10月20日 09:00
在日外国人などのマイノリティに対する攻撃的・差別的な発言が「ヘイトスピーチ」と認識されるようになって久しい。大阪市や川崎市、相模原市など、一部の自治体ではヘイトスピーチを規制するための条例も制定された。
一方、最近のネット上では、マジョリティである「男性」を対象にした発言が「ヘイトスピーチ」として取り上げられ、問題視されるケースも目立ち始めている。
「男性に対するヘイトだ」女子アナやタレントが炎上
8月2日、東京都は、昨年9月1日に墨田区内で行われた集会における「朝鮮帰れ」などの発言を都人権尊重条例に基づく「ヘイトスピーチ」にあたると認定した。集会は、関東大震災の朝鮮人犠牲者を追悼する碑の撤去などを求める団体が、碑の近くで行ったものだ。
他方で、同月9日にはフリーアナウンサーの川口ゆり氏がX(旧Twitter)に「職場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」と投稿し、「男性に対するヘイトだ」などの批判が巻き起こる。8月11日、フリーアナウンサー事務所「VOICE」は川口氏との契約を解除したことを発表した。
午後4:22 · 2024年8月11日
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発言について謝罪する川口氏のX投稿
また、同21日にも、タレントのトラウデン直美氏が報道番組の中で自民党総裁選の広報用ポスターについて「おじさんの詰め合わせ」と発言し、Xでは「男性差別」などの批判が起きた。
法務省や国連の定義は?
川口氏やトラウデン氏が行ったような「男性」という属性・集団に対する批判的な発言や揶揄(やゆ)的な表現は、本当に「ヘイトスピーチ」と言えるのだろうか。
日本の法務省はヘイトスピーチを「特定の国の出身者であること又はその子孫であることのみを理由に、日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの一方的な内容の言動」と定義している。この定義では、男性・女性などの性別を対象にした発言はヘイトスピーチに含まれない。
一方、国連の定義は「ある個人や集団について、その人が何者であるか、すなわち宗教、民族、国籍、人種、肌の色、血統、ジェンダー、または他のアイデンティティー要素を基に、それらを攻撃する、または軽蔑的もしくは差別的な言葉を使用する、発話、文章、または行動上のあらゆる種類のコミュニケーション」となっている。
この定義には「ジェンダー」が含まれているため、男性を対象にした発言もヘイトスピーチに含まれる可能性があるように思えるが…。
言葉の定義には「理由」と「目的」がある
『差別の哲学入門』(池田喬との共著、アルパカ、2021年)などの著作があり、ヘイトスピーチの問題にも詳しい倫理学者の堀田准教授(東京理科大学)がまず指摘するのは、「言葉の定義には常に『理由』があり、理由の中核には『目的』がある」という点だ。
(中略)
「男性に対するヘイトスピーチだ」と主張することの問題
それでは、「男性に対するヘイトスピーチだ」という言説についてはどのように判断すべきだろうか。
堀田准教授は、言葉をどう使うかは法律や他人が強制できないという意味で自由だとしながらも「自由には責任が伴う」と指摘する。
「社会的マイノリティ集団に対するヘイトスピーチと『日本人』や『男性』などマジョリティへの侮蔑や攻撃を同等のものとして扱う人には、以下のような問題があります。
(1)ヘイトスピーチという言葉が要請された経緯と現実の社会状況を知らない
(2)知っていて、あえて無視している
(3)『社会的マイノリティ』という存在自体を否認するような態度をもっている
いずれにしても、その人は、社会的マイノリティに対するヘイトスピーチの深刻な害悪を軽視する立場に立っていると見なされるでしょう。そう見なされてもよい、と本人が思うならば、『男性に対するヘイトスピーチだ』と言えばいいのではないでしょうか」(堀田准教授)
なお、実際には「男性へのヘイト」と主張する人の多くの場合が(1)に当てはまり、社会的マイノリティへの差別の歴史と現状について知識をもっていないのだろう、と堀田准教授は語る。
「私自身も、マイノリティへの差別について最初は無知でした。でも、知識がなければ、これから勉強すればよいと思います。
(略)
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