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「女性と出産」またぞろ問題発言…政治家はなぜ懲りない? SNSでは論点をすり替えてまで擁護に走る動き:東京新聞
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
2024年5月23日 12時00分
「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」。激戦が伝えられる静岡県知事選の応援で、地元選出の上川陽子外相が発した言葉。即座に撤回されたが、過去にも女性と出産を結び付ける政治家の発言は問題視されてきた。今回も出産の比喩であることは明らかだが、撤回された後も「曲解」「言葉狩り」などとして発言を擁護し、女性への配慮を求める側を批判する言説が、交流サイト(SNS)で広がっている。繰り返される問題の根底にあるものとは。(曽田晋太郎、山田祐一郎)
上川陽子外相の発言要旨 (知事は)大きな大きな命を預かる仕事であります。その意味で今一歩を踏み出していただいたこの方(候補者)を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか。私も初陣のときに皆さんに「うみの苦しみにあるけれども、ぜひうんでください」と演説で申し上げた。この候補者のことを思うと、その場面が頭によぎる。今日は男性もいらっしゃいますが、うみの苦しみは本当にすごい。でもうまれてくる未来の静岡県、今の静岡県を考えると、私たちは手を緩めてはいけない。
◆「うまずして」発言、批判が上がると早々に撤回
上川氏の「うまずして」発言は18日、女性支持者らが詰めかけた地元・静岡市での集会で飛び出した。発言が報じられると、野党からは一斉に「女性に対する配慮に欠ける」などの批判が上がった。
収拾は早かった。上川氏は翌19日に取材に応じ、「女性パワーを発揮していただき、知事を誕生させようとの意味で申し上げた」「真意と違う形で受け止められる可能性があるとの指摘を、真摯(しんし)に受け止める」として発言を撤回。同日、岸田文雄首相も「誤解を招く表現は避けるべきだと私も思う」と語った。
◆街の声は…「自民党の認識が表れた」「揚げ足取り的な風潮」
東京新聞「こちら特報部」は東京・日比谷で、発言要旨を見てもらいながら受け止めを聞いた。3児を育てたという川崎市の女性(78)は「女性初の首相候補として、今の政治家の中では期待していたが、残念。いろんな事情で子どもを産みたくても産めない人がいる中で、配慮が足りない発言だと思う」。東京都江戸川区の女性会社員(24)も「こうした発言をさらっとしてしまうところに、無意識に女性を軽視する、従前からの自民党の認識が表れているのでは」と危ぶむ。
他方、3児の父という中央区の男性会社員(35)は「配慮が足りない感じもあるが、メディアに揚げ足取り的な風潮がある。過敏に反応しすぎでは」。八王子市の男性(69)は「応援に熱が入って言ってしまったのでは。そこまで目くじらを立てることではない」と述べ、世田谷区の1歳児の母親(35)は「そこまで気にならないが、影響を考えるべきだった」と話した。
◆所属派閥内でねたみや嫉妬の的に?
「ポスト岸田」の1人とも目される上川氏は、どんな人物か。衆院静岡1区を地盤とし当選7回の71歳。東京大卒業後、三菱総研研究員を経て米ハーバード大大学院を修了、米上院議員の政策立案スタッフを務めた。少子化・男女共同参画担当相や法相を経て、昨年9月の内閣改造で外相に就いた。2人の娘がいる。
政治ジャーナリストの泉宏氏は「まじめで実務能力が高く、優秀」と評する一方、女性活躍を掲げる政権で幾度も閣僚に就き「(出身派閥の)宏池会内でねたみや嫉妬もある」とする。
岸田首相は上川氏の発言を擁護しなかったが、「総裁再選に執念をにじませる首相にとって、ポスト岸田の芽をつぶそうとする向きもあるのでは」とみる。上川氏がすぐに発言を撤回したのも「本人も次(の総裁選)が、年齢的に首相を狙うラストチャンスと思っているはず。問題が尾を引かないよう、傷を小さくしたのだろう」と推し量る。
◆繰り返される謝罪と撤回
(略)
◆デスクメモ
「子どもを産まなかった方が問題」という19年の麻生氏の発言。14年にも同趣旨で述べているから本音なのだろう。同じ口で、昨年訪問した台湾では「戦う覚悟」を唱え中国の反発も招いたが、戦う覚悟を促されているのは子どもたちだ。戦争を判断する指導者は決して戦場にはいない(恭)
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