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【朝日新聞社説】論じることの原点を心に刻んで(2014年9月13日(土))
朝日新聞は、戦後に例がない大きな試練を自ら招いてしまいました。
一昨日、木村伊量(ただかず)社長が記者会見し、福島原発事故での「吉田調書」を
めぐる誤報や、慰安婦報道での間違った記事の撤回の遅れなどを謝罪しました。
「吉田調書」は、社説でも取り上げ、全面公開を求めました。その中で、誤報だった
記事に基づいて「所員の9割が命令に反して10キロ余り離れた別の原発に一時退避」
や「所長の指示・命令が守られず」という表現を使いました。社説を担う論説委員室
として、読者や関係者の方々にかさねて深くおわびします。
また、慰安婦報道検証や、それについて論評した池上彰氏のコラム掲載見合わせも、
重い問題だと受け止めています。
私たち論説委員は、社説などの欄で、あるべき社会の姿について主張をし、ときに人や
組織を批判する役割を担っています。
しかし、その土台を大きく損なってしまいました。どんな主張をしても「お前にそれを
言う資格があるのか」と厳しく問われるからです。
読者やほかのメディアから、たくさんの批判をいただきました。一番重く受け止めな
ければならない指摘の一つは「自分たちの主張に都合の良いように事実を集めたのでは
ないのか」だと思います。