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学校法人「森友学園」への国有地売却に絡む財務省決裁文書改竄(かいざん)問題で、野党が証人喚問に臨む佐川宣寿前国税庁長官を持ち上げ始めた。そもそも佐川氏は「官邸を守った官僚」として野党の批判の矢面に立たされていた人物だ。攻撃対象に「利用価値」があるとみるや称賛に転じる構図は、文部科学省の前川喜平前事務次官や森友学園前理事長の籠池泰典被告のケースにも通底する。(松本学)
「36年間公僕として職務にあたってきた佐川氏が、国民に貢献する最後の機会かもしれない。全貌を話すことを呼びかけたい」
民進党の大塚耕平代表は22日の記者会見で、佐川氏にこうエールを送った。希望の党の玉木雄一郎代表も党会合で「旧大蔵省に入った高い志が残っているのであれば全てを話すことが最後の公務だ」と訴えた。
疑惑解明を目指す立場からキーマンに詳細な証言を求めているようだが、野党幹部は過去には佐川氏を激しく批判していた。
「まるで官邸を守るかのような答弁をした人は公僕として降格の対象だ」
昨年6月、当時の民進党の蓮舫代表(現立憲民主党参院国対委員長)は、佐川氏の国税庁長官起用をこう批判した。民進党幹事長だった野田佳彦前首相も「上のほうばかり見て『体育会系』で頑張った人は厚遇される」と人事を皮肉った。
「手のひら返し」は今に始まったことではない。文科省の天下り問題が国会論戦の中心だった昨年1~2月、前川氏は野党の格好の攻撃対象だった。
民進党の山井和則国対委員長(当時)は「中心人物が5600万円の退職金をもらい、国会での説明責任からも逃れる」と息巻き、江田憲司代表代行(同)は衆院予算委員会で「退職金は返上すると答えてほしい」と前川氏に迫った。それが今では「加計学園問題をめぐって勇気ある発言をした」(立憲民主党の辻元清美国対委員長)とヒーローのような扱いだ。
籠池被告についても、かつての「自分の感性に合ったメディアにだけ取材に答える」(民進党の安住淳元財務相)との批判は影を潜めた。昨年3月、籠池被告の自宅を訪れ、政権批判の証言を尊重したのも野党議員だった。玉木氏は22日の党会合で「『財務省が文書を消去をしたと聞いた』と証言をしている。非常に重要な証言ではないか」と語り、籠池被告の「功績」をたたえた。
産経新聞
2018/03/22 23:28
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