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NEWS ポストセブン:2016.09.10 16:00
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(依頼193)
共産党の財政基盤を支える機関紙「しんぶん赤旗」はどのようにして成り立っているのか。
その配達と集金、勧誘の仕組みをジャーナリストの竹中英司が解剖する。
* * *
日本共産党は主要政党で唯一、国から政党交付金を1円も受け取っていない。
1995年の制度創設以来、共産党がもらわなかった政党交付金の総額は200億円を超えるという試算がある。
「政党交付金は国民が納めた税金を支持していない政党に回される憲法違反の強制献金制度だ」(宮本顕治・元名誉議長)
と主張してきたからだが、“やせ我慢”には別の理由もあるようだ。
共産党は現在も破壊活動防止法の調査対象団体に指定され、公安調査庁に活動を監視されている。
古参党員はこう語る。
「政党助成法では、総務大臣に交付金を受け取った政党への調査権(説明聴取)や返還命令権などの強い権限が与えられている。交付金をもらえば活動資金を国家に依存するようになり、国家権力から党財務に介入される余地が生まれる」
だから他の政党と違って、財政面で国に依存しない独立採算路線を採ってきた。
そんな共産党の屋台骨を支えているのが機関紙「しんぶん赤旗」の購読料(日刊紙・月額3497円、日曜版・月額823円)だ。
政治資金収支報告書によれば、共産党の2014年の収入は約225億円。
内訳を見ると、党員からの党費約7億円、寄付約5億円に対し、機関紙の事業収入は約194億円でなんと収入の8割以上を「赤旗」が稼ぎ出し、同事業の支出と差し引きすると約62億円が粗利とみることができる。
粗利益率は3割以上だ。
党の人件費をはじめ、光熱費や事務所費などの経常経費・約38億円は赤旗の購読料でまかなっているとみていい。
不思議なのはその利益率の高さである。
赤旗の日曜版は約100万部の発行とはいえ、日刊紙の発行部数は約20万部とされる。
これは小規模な県の地方紙のレベルの部数だが、地方紙と違って赤旗は全国に宅配網をめぐらせなければならず採算が見込めない。
しかし、そこに赤旗独自の配達と勧誘の仕組みがある。
党関係者が自ら配っているのだ。
「地方議員や(党から給料をもらっている)専従の党員も配達するが、現在の主力は支部長OBや会社をリタイアした一般党員たちです。
一般党員には完全なボランティアと有償で配達する場合の2種類があるが、報酬をもらっても多くを党に寄付するから実質的にはボランティアです」(20年近く赤旗を配達しているベテラン党員)
赤旗は同紙印刷のために設立されたあかつき印刷など全国6か所で印刷され、各都道府県の党支部など配達拠点に配送される。
さらに「配達ポスト」と呼ばれる市町村の党議員事務所などに届けられ、配達員の手で各戸に配られる。
この宅配の人件費はほとんどタダというわけである。
利益率が高くなるのもわかる。
たいへんなのは日刊紙の5倍近い部数がある日曜版だ。
毎週木曜日に刷り上がって集配所に届けられ、宅配ボランティアの人員も10数万人に増員される。
また、選挙が近づくとこうした赤旗配達員の党員たちが、新聞を配達する際、購読者以外の住民のポストにも共産党系団体の政策チラシなどを投函していく。
こうした組織力は他党を圧倒している。
ボランティア配達員の党員にとって一番重要な活動は集金である。
現場では、購読料は振り込みや年間一括払いではなく毎月の現金払いを奨励している。
「党勢拡大のためにいきなり党員獲得といっても現実的には難しいから、まず赤旗を取ってもらう。
購読者になってくれた方は共産党の政策に関心がある人です。
毎月の集金時はそうした購読者と直接、話ができる貴重な機会だから、政治への不満や生活の不安などできるだけ話を聞いて、具体的に困っていることがあれば地域の党の出張所などに来てもらって改めて相談に乗る」(同前)
配達・集金は「機関紙活動」と呼ばれ、党員の中で重視されている。
ただし、近年では配達員となる党員不足や高齢化などから赤旗の遅配・欠配も増えてきたという。
とくに僻地での配達は配達員にとっても負担が大きいようだ。
※SAPIO2016年10月号