16/09/20 13:29:51.21 FdeZIahp.net
窓越しに、地獄が見えていた。
死霊三人にはディアナが撃ったであろう弾の痕が残っている。
ディアナは目に涙を浮かべながら銃を乱射し、ニーナは淡々と魔法を唱える準備をしている。
これを止められるのは、あの人しかいない…
僕は、その人を呼びに走った。
「ん?ヘンリク、どうし…」
「ラルフ!こっち来て!」
ヘンリクに連れてこられた部屋からは、明らかに異常な物音が聞こえた。
入るや否や、ディアナの母が立ち塞がる。いや、よく見ると腹の辺りから煙が出ている。
どうやら庇ってくれたらしい。「さあ、ガツンと言ってやって」とでも言いたげに目配せしている。
俺がいることに気付いたのか、ディアナが銃を下ろす。
「もう、放っといて下さい!」
「放っとける訳ないだろ!いいか、アイツが憎いなら俺が受け止めてやるよ。だからもう止めろ。」
ディアナは顔を赤らめている。思い人から面と向かってベタな台詞を言われたから当然の反応だろう。
ラルフもそのことに気付いたらしい。顔の色を確かめる間もなく逃げ出した。ディアナが追いかける。
ニーナの方は死霊たちが説得してくれたらしい。
「ごめん、勝手に死のうとして。あと、ありがと。」
そう話し、彼女は笑う。
そういえば、ニーナの笑顔を見るのは初めてだ。
「うあぁぁぁぁ…」
「ラルフさん…いい加減出てきて下さいよ」
「放っといてくれ…」
「放っとける訳…」
「あああぁぁぁぁぁ…!」
恥ずかしいのは俺もだよラルフ…