16/09/04 22:34:07.79 h+stIavh.net
では
ユズにとってCitrusの仲間はかけがえのないものになっていた
大切な仲間のため、これまでなんの躊躇もなく発散してきた嫉妬心を我慢して、膨れ上がる狂気を溜め込み続けた
やがてユズは壊れた
きっかけはほんの些細な出来事だった
軽い怪我をしたユーレカをバレンシアが手当し、普段人と目を合わせないユーレカが
珍しくバレンシアの目を見て礼を言った。それだけのこと
彼女とってこの光景は到底許せるものでは無かった
音もなく刀を抜いたユズはバレンシアに斬りかかる
その時とっさに庇ったヒュウガはまともに斬撃を受けてしまい即死した
「混乱?まさか三途渡り…いやそんなはずは無い。だって」
仲間の豹変に戸惑い考えを巡らせるバレンシア
しかし彼女へ再び向けられた刃に思案を打ち切られ、なし崩し的に人間同士の戦闘が始まる
ユズはまさにこの時ために一刀マスラオに転職していた
ユズが放つ兜割りの前には鉄壁の防御力は意味をなさず、バレンシアも無惨に斬り殺されてしまった
流石にここまでくると唯一無二の親友であったユーレカもユズに恐怖を抱き始めた
もう後戻りはできない。ならば貴方を殺して私も死ぬと、ユズはこの日のためにずっと隠し持っていた新品の短剣を取り出す
まだ誰の血でも汚されていない短剣で貴方を殺そう。ユズは喜びとも悲しみともつかない表情を浮かべ短剣を振り上げた
しかしその時、少し離れた場所に隠れていたブラッドがユズに死霊をぶつけた
ユズは聞き取れない声で何かを呟いた後、焼死する
モンスターに襲われたわけでもなく突如壊滅したギルドCitrus
ブラッドとユーレカはひとまず今後の方針を決めるためギルドハウスに戻った
そしてブラッドはユーレカを気絶させ、魂を喰らい身体を奪った
ユーレカを庇ったのは仲間意識でもリーダーとしての責任感でもない
大事な予備の身体を壊されてはたまらないという、ただそれだけの理由だ
人間の危険性を改めて思い知ったブラッドは死霊ばかりを集めたギルドを組み直し、再び世界樹へと挑むのであった