16/09/02 23:30:15.44 yftze/+8.net
続き
「秩序の、それならいい方法がありますよ!!」
樹華は二人に高らかに宣言する
そうしておもむろに背嚢から樹海小麦を取り出して手を招くと
ライチがもそもそと身を寄せ、カシクが樹華の懐に潜り込んでひそひそと話し出した。
……戦人のあたしにゃ、丸聞こえだけどねぇ
(これは私の母から聞いた初代ギルドマスターの技なのですが、これの粉と火種を同時に投げつけると、疑似的にファイヤーボールを再現できるのです。)
(へーっ!凄いな!!)
(ただ、これは火の近くでやるととても危)
(樹華ちゃんありがとう!さっそくやってみるね!!)
「え?」
「えーぃっ☆彡」
唐突に小柄な彼女がコロリと樹華の腕をすり抜け、小麦粉を投げようとしたのを見て、
一拍遅れて樹華が叫び、ライチがカシクを焚き火の近くから引き剥がす。
「険ですカシク!」
「ッ!?ディバイトガードッ」
………………?
鍋を抱えて飛びのいた吠耳は自身やライチ、カシク達の前に薄緑の盾を見てほっとため息をついた。
小麦粉は撒くというより叩き付けるように投げられたためか爆発こそしなかったが、危ないことに変わりはない
避難させた具材を鍋に放り込み、そっと小麦粉に木の葉を被せて粉が舞わないように処理をする。
「……おい」
「小父さん……すいません……」
シールドを解除すると、ハイルは青筋を立てながらゆっくりとカシクに歩み寄る、
彼女も自分が悪いことは察したのだろう、気まずげに目線を巡らせて言い訳を募っては、徐々に小声になっている。
吠耳は逃げてしまった具材を眺めるキキカギに許しを出して更に嘆息した。
「あたしゃそんな使い方を教えた覚えはないんだけどねぇ」
そんな彼女の嘆きは、よく響く説教の声に吸い込まれていった。