くりきんキャラ、キン総合スレat POKECHARA
くりきんキャラ、キン総合スレ - 暇つぶし2ch178:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/11 01:56:20 hOmQpVex.net
「ど…っ…どうして私が……!」
男にくってかかろうとしても、文字通り手も足も出ない。拘束具がむなしく音をたてるだけだった。
「時間をかけて選んださ…実験体としての条件や行動パターンを調べ上げてな……」
灰色のスーツの男は、マキの激昂も全く気に留めないといった態度で続けた。
「実験体としての条件がピッタリな上に、放課後に森で一人になる事が多いお前は、さらう側からすりゃ、
 うってつけってワケだ」
「……!ヴェルの森になにかしたの…!?」
マキは今日、ヴェルの森の空気がおかしかった事を思いだした。あの直後、自分は意識を失ったのだ。
「そうさ。件のハートリアをまいておく手もあったがな…お前が居なくなったあと、あそこをサイシュ
 されてハートリアが大量にみつかれば、痕跡になっちまう。だから研究過程で生まれたあるモノを使った」
「あるモノ……?」
「『催眠』の特性をもつ『ミスティーマ』さ…」
「さ…さいみん……?」
「ミスティーマなら風に流されちまうし、大気中のキンだ、そこらのヤツはサイシュできねー」
痕跡が残りにくい…それはマキからすれば、助けが来る確率がより低くなることを意味する。その上、男の
言う通りなら、ここは山の裏側の地下。痕跡があったとしても、容易に見つけだせる場所ではない。
「この研究成果を生み出したのも、いま事を進めているのも、全部、旧バクテリアンラボの科学研究班の
 連中さ。実験を重ねてな。そして研究の発展には更に実験が必要になる。お前みたいなのを使ってな」
「じ、実験って一体なんの……」
「…俺達は、人間の『涙』『汗』『唾液』、そういった分泌物と、キンとの反応や影響をサンプルしている」
「………そ、それなら私じゃなくても……!」
「ああ、そうだとも。お前じゃなくても事足りる。事実、さっき言った特殊ミスティーマも、今俺があげた
 分泌物との研究で出来たモンだ。それだけ研究は進んでいる。だが……」
「…?」
「『まだ反応を調べてない分泌物』があるからな……クク」
「………?」
マキには何の事かさっぱり分からない。

「さて、俺の仕事はここまでだな…」
「え…?」
「俺は元々ラボで実動的な仕事をしてたモンだ。俺の仕事はお前をさらって、目が覚めるまで見張ることだ」
実動的な仕事…例のハートリアの薬を配ったり、カセキンの爆弾を設置したりという作業のことだろう。
「長々しいハナシは俺の親切だ。助けが来ると思って……余計な希望を持ったままじゃ辛いだろうからな…」
灰色のスーツの男は、意地の悪い笑みを浮かべる。
「あとはお前の飼い主サマにじっくり可愛がってもらいな……へへ」
「……!…は…放して……!…ここから出してっ……!」
拘束具をギシギシと鳴らしながら暴れるマキを余所に、灰色の男と部下達は踵を返した。
マキは息を切らしながら唇をかんで、その背中を見送った。


とりあえずココまで


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