こんな天地人が見たかった!5at NHKDRAMA
こんな天地人が見たかった!5 - 暇つぶし2ch235:日曜8時の名無しさん
16/09/26 23:06:46.44 /lOVBTcQ.net
第四四話「天下一統」(64)
「信長公は
本街道 三間二尺(約6,5メートル)
脇街道 二間二尺(約4,5メートル)
在所道 一間  (約2メートル)
と、道路の規格をお決めになり、整備に力を尽くされた。」
ほおお。
「信長公は、商業が富を生むこと、商業のためには交通網が必要であることを
生得に理解されておられたな」
ふうむ。
「そういえば、織田の旗印は永楽銭でござったな。
信長公は銭の力で天下を取ろうとされておったのじゃろうか」
「銭のもつ不思議な力に。あやかりたいとおもわれたのではないかのう」
確かに、毘沙門天とか孫子とではなく、明銭を旗印にするのは、変わっておるのう
しかし、征明の戦で、織田勢の旗印を見れば、明の軍勢は戸惑うじゃろうな
永楽帝に弓引くことになるからのう、やや、それはないか。
織田信雄様は、改易されたからのう

236:日曜8時の名無しさん
16/10/02 22:59:54.82 pN/ITDpY.net
第四四話「天下一統」(65)
「もともと信長公の家は、尾張下四郡の守護代の三家老のひとつにすぎなかったのに
津島湊を金蔵にして勢力を伸ばしてこられたのじゃ。
木曽川の河口に位置し、伊勢の海運の中心であった津島湊を金蔵にした信長公の御父
上様・信秀公は、皇居の築地修復のため、四千貫文を献上しておる、それくらい富強
じゃったのじゃ」
蒲生氏郷、織田の譜代の家臣のように詳しく話す
「富強で言えば、上杉も負けてはおるまい。直江津や柏崎湊から、都へ運ばれる越後
上布や青そにかけた関税が年間四万貫と聞いておる」
浅野長吉、意外と博識のところを見せる
まったく、なんでも知っておるのう
「四万貫!関東や北陸への連年の出征ができたのは、そのせいか」
蒲生氏郷も感心したような声を出す

237:日曜8時の名無しさん
16/10/05 22:51:11.79 8QwJezql.net
第四四話「天下一統」(65)
「謙信公は、数万両の遺産を残された。それをいち早く確保して、上手に遣って
内戦に勝利されたのが、ここにおられる直江山城守様じゃ」
浅野長吉、酔ったのか、ふざけている
しかし、何から何まで、よく知っておるのう。
「ところで、織田信雄様は、どうなるのでござましょう」
これ以上、昔話をされても、藪蛇なだけと思った兼続、話題を転換する

238:日曜8時の名無しさん
16/10/10 23:05:35.57 jzU1iKMj.net
第四四話「天下一統」(67)
「上杉家の内戦は、景勝公と北条から養子に入った景虎殿の争いになったのじゃが
北条の同盟国であった武田の大軍が、越後に攻め込んできた。その時、景勝公は、
武田に金子を贈って、味方にしたのじゃ。そうじゃろ、直江」
浅野長吉、なれなれしい。兼続、にこにこ笑うも取り合わない。
「信雄様は、佐竹殿の預かりであったが、この後、出羽に流されると聞いたが」
「能を踊れば、天下一のお人なのじゃがのう。兵事はからきしじゃな。信長公の
御子息としては不出来なお人じゃな」
「信長公に勘当されそうになったこともあったなあ」
「独断で伊賀を攻めて、大敗したときのことじゃろう」
浅野長吉と蒲生氏郷、二人で盛り上がっている
不覚人なのじゃろうか

239:日曜8時の名無しさん
16/10/12 22:57:21.62 mCDN1Y6D.net
第四四話「」天下一統」(68)
「織田信雄様がおられなければ賤ケ岳の戦でも、関白殿下は名分が立たなかった
のではございませぬか。いわば。関白殿下の覇業に協力されたお人なのに…」
「協力したのではない。利用されただけじゃ」
浅野弾正長吉、さらに辛辣になる
「信雄様は、もう少し、気をつかうべきじゃったな。
徳川殿を見習うべきじゃ。徳川殿は、領内の城をすべて提供し、無理やり小田原
攻めを強行するくらいに、気を遣っておられるのに」
蒲生氏郷も、口調が冷たい

240:日曜8時の名無しさん
16/10/13 23:16:14.49 WD7VyM4l.net
第四四話「天下一統」(69)
「関白殿下は、天下一統を完遂したことで、お心に変化が生まれたのではありませぬか
以前の関白殿下とは違うようにお見受けいたしまするが」
兼続、言葉を選びながら探りをいれる
「信長公に似てきたのう」
「信長公に似てきたというか、絶対権力者は孤独で不安なものじゃ」

241:日曜8時の名無しさん
16/10/14 23:30:07.15 sZWzn1Gw.net
第四四話「天下一統」(70)
「山上宗二も、小田原で斬られておる。耳鼻削がれて斬首されてしもうた」
蒲生氏郷、憤懣やるかたない口調で愚痴る
「宗二は、茶道には妥協のない男で、関白殿下にも直言するもので何度も追放さ
れたのじゃが、今度はきられてしもうた」
「利休様も命乞いされたのじゃが、関白殿下は、おゆるしにはならなかった」
「秀長さまが、参陣されておられれば、関白殿下を説き伏せて、助けてくれたかも
しれなかったがのう」
浅野弾正長吉も愚痴る
大きな器量で天下を一統された関白殿下じゃが、その自尊心は肥大化し、些細な
反抗も許せなくなっておるのかもしれぬな。
石田のような忠義一途な者たちに囲まれておれば、それが普通と思われるのやも
しれぬ。
やはり、征明の戦に対する反対・反発が大きいことに、お気づきで、機先を制し
て、弾圧して、みなを従わせようとしておるのじゃろうか。
信雄様を改易して流罪に処したのも、一罰百戒を狙ったものじゃろうか

242:日曜8時の名無しさん
16/10/19 22:33:09.51 2GB8xy71.net
第四四話「天下一統」(71)
「大谷刑部殿より急使でございまする。仙北で一揆発生いたしました」
やはりなあ。
「通せ」
蒲生氏郷、浅野長吉と顔を見合わせうなづく
「大谷殿配下が検地をおこなっておると、付近の農民が妨害したので、見せしめ
のために数人を斬首したら、逆襲されて、大谷勢、五十人ばかり惨殺されたよう
でございまする」
大谷家の使者が報告する

243:日曜8時の名無しさん
16/10/23 20:03:59.43 xF8zaBjg.net
第四四話「天下一統」(72)
「景勝公、旗本を率い春日山を進発、現地に急行しておるとのこと」
おお。
「それがしも、出羽に戻りまする」
兼続が、慌てて辞去しようとすると
「わしは、都に戻るつもりじゃ」
なぜに!浅野長吉が不思議なことを言う。
「あまり大事にしたくないのじゃ。一揆が勃発したからこそ、予定通り行動するのじゃ」
ほお、動揺するところを見せないつもりかあ。

244:日曜8時の名無しさん
16/10/25 23:29:51.01 c/sYAcNB.net
第四四話「天下一統」(73)
「どうも、前後左右から一揆勢が接近しておるようでございまする」
景勝の率いる上杉本隊と合流した兼続だが、一揆勢との乱戦に巻き込まれている
「本庄にやられたことを、そっくり返すつもりなのじゃろうか」
景勝、氷のように冷静だ。
「そうかもしれませぬなあ。最上の配下が混ざっておるやもしれませぬ」
しかし、謙信公とともに何十年も戦い続けた百戦錬磨の上杉に対して、
包囲殲滅戦を企図するとは、笑止千万じゃな。
「敵の総数は約二万でございまする」
伝令の声が裏返っている
「これだけの作戦を遂行するとなれば、烏合の衆というわけでもないようじゃな
敵の本陣を探せ」
戦場諜報をとるため、すべての細作が投入された

245:日曜8時の名無しさん
16/10/26 23:38:16.84 r+NtZ57R.net
第四四話「天下一統」(74)
一揆の総大将を捕捉して首を取れば、この大軍も四散するじゃろ
無益な殺生は避けるべきじゃ。

246:日曜8時の名無しさん
16/10/29 23:59:21.73 GGvpLrTb.net
第四四話「天下一統」(75)
「ご家老は、敵を甘く見すぎておる。謙信公が一番苦戦したのは、武田ではない。
もちろん北条であるはずもない。北陸の一向一揆じゃ。謙信公は、神仏に願文を
捧げて平定を祈念したことさえあった。」
「しかし、一揆というても、一向門徒のような宗教心もないし、雑賀の鉄砲隊もおらぬぞ
そなたの鉄砲隊で、防ぎ留めながら、敵の司令部を強襲して、敵将の首を挙げる
作戦が一番じゃと思うが」
兼続の作戦に対して上杉の鉄砲隊指揮官・水原親憲が意見具申をする。
「鉄砲も、ほとんどないようじゃし、どうみても調練を受けておらぬようじゃが
それがしは、無辜を殺傷したくないとおもうのじゃが」
「それが、甘いのでござる。敵は、必死でござる。検地で土地を取り上げられた
地侍にとって、こたびの戦いは、絶対勝たねばならぬ戦でございまする
鉄砲隊が防ぎとめることができるとは、思えませぬ」
「そういえば、信長公が長島の一揆を鉄砲隊で殲滅しようとして、逆襲され、庶兄・信広
殿を筆頭に、歴々の旗本数百人が討ち死にしたことがあったのう」
景勝が、軍談研究の成果を披露する
「時間がない。では、どうすればいいのじゃ」
「作戦構想は、このままでよいとしても、われらも死力を尽くさねば、勝てませぬ。
勝てぬというか、生き延びることさえ、難しゅうございまする」
本陣を囮にして、敵将を釣りだそうと考えたのじゃが、いささか巧緻にすぎたか。
「敵将・鍋倉四郎、益田城を出た模様、数千の兵を率いて、こちらに向かっておりまする」
名もなき土民相手の死闘が始まるのか。
「みな、わしの節度に従え。ゆくぞ」
景勝が、本陣勢を率いて、正面から激突する。
兼続も与板衆を率いて、本陣の背後を固める。
「背後からも、敵軍が迫っておる。敵を一歩も通すな。
旗本衆が、敵将の首を取るまで、時間を稼ぐのじゃ」
なんか、川中島の戦に似てきたな。時間との戦いじゃ。

247:日曜8時の名無しさん
16/10/30 00:31:24.10 zwUrLNeB.net
第四四話「天下一統」(76)
「撃て、撃て。皆殺しにしろ」
水原の鉄砲隊が、火ぶたを切る。
バタバタ、倒れる一揆勢。しかし、わき目もふらず、次から次へと突っ込んでくる
「一歩も退くな。弓隊、前へ。撃て」
雨のように降り注ぐ、上杉勢の矢。しかし、死体の山を踏み越えて、一揆勢は、
まったく怯まない。みな死兵じゃ
「ご家老、お下がりくだされ。敵兵が迫っておりまする」
「わしも戦う。みな、負けるな。一歩も退くな。」
兼続も、騎馬を率いて、一揆勢に正面攻撃することになった。
「最後の一兵まで戦え。ここを死に場所と心得ろ」
馬上で槍を振るう兼続。敵勢に突っ込んで、敵兵を馬蹄にかける
槍で、敵兵の頭をぶん殴る。顔を突き刺す。
「止まるなよ、動け。離れるな」
叫びながら、戦い続ける
すると、乗馬が突然膝を折る。前に、放り出される兼続。
兼続の乗馬は、前足を斬られたようだ。
「許せ」
愛馬に槍でとどめを刺して、刀を抜く兼続。
大兵の敵兵の手元に機敏に入り、横殴りに首を狙う。
ゴン。
手元が狂い、鎧にはじかれる。
とっさに脇差を抜いて、脇腹を突き刺す。
血潮が噴き出し、兼続の視界が真っ赤に染まる。
「ご家老をお護りせよ。ここを死に場所を心得よ」

248:日曜8時の名無しさん
16/10/30 22:34:32.43 zwUrLNeB.net
第四四話「天下一統」(77)
「鍋倉四郎の首、岡田十左衛門重治が嫡子治左衛門重貞が討ち取ったり」
おお。
「反撃じゃ。追い散らせ」
生色を取り戻した上杉勢、一揆勢に猛然と襲い掛かる
「益田城、攻略いたしました」
次々と勝報が届く。
ところが一揆勢は、なかなか崩れない。
「御館様、ご苦労様でした」
本陣に戻る兼続
「そなたも奮戦したようじゃな。怪我はないか」
「返り血でございまする」
夕方になって、やっと戦は終わった
「われらが獲った首は一千五百を超えておりまする」
大激戦じゃったな
「われらの被害は、どうなっておる」
「概算で戦死者二百余・負傷者五百と思料いたしまする」
ふうむ。
「一揆勢のものども、死に急いでおるようでございましたなあ」
「これが天下一統に対する地侍どもの反発じゃろう。
居場所がないのじゃ」
居場所。居場所を造るために、征明の戦をするのじゃろうか

249:日曜8時の名無しさん
16/11/21 23:02:29.28 IoxytGlq.net
第四四話「天下一統」(78)
「庄内でも一揆が勃発いたしました」
おおお。予想通り、自分の家にも火がついた兼続。
佐々の二の舞は避けねばならぬ。
領内を治めきれないと難癖つけられて、庄内を没収され、最上に返還される
ようなことがあると、目も当てられぬなあ。」
「春日山に伝令、増援部隊を編成し、すぐに進発させよと伝えよ」
お船殿が、うまくやってくれるじゃろうが。

250:日曜8時の名無しさん
16/11/27 21:40:23.76 FlpdJjjj.net
第四四話「天下一統」(79)
「藤田信吉殿、一揆の首謀者・菅野大膳を討ち破りました」
ううむ。藤田信吉、いつものように使える男じゃな
「全軍、藤島に向かえ」
一揆が小規模なうちに、ひとつひとつ潰していかねばならぬ
一歩間違うと、奥羽全体に波及する一揆になるやもしれぬ
九州の一揆のようなことがあるやもしれぬ
「大崎・葛西で一揆勃発いたしました」
一揆の炎は陸奥に波及。小田原に参陣しなかったことを咎められ領地を没収
された大崎・葛西の遺臣が一揆を起こしたのだ。
「浅野殿より、ご使者」
「お通しせよ」
「徳川様、前田様などにも動員令が発令されました」
おお。総力戦となったようじゃな
「戦乱の中、自分の領地を守ってきた地侍も、関白殿下の天下一統政権のもと
では、百姓になるか、新たに任命された領主の下っ端の家来になるしかない。
世の中の変化の速度についていけないのじゃな」
上杉景勝、評論家的だが正しいことを言う



251:日曜8時の名無しさん
16/11/29 22:47:40.58 sY6Sz217.net
第四四話「天下一統」(80)
「なんとも後味の悪い仕置きじゃな」
「はっ。残念でございまするが、ここで武威を示しておかねば、愚民どもの蜂起
は収まりますまい。ほかの道はございませぬ」
藤島で蜂起した一揆の首謀者・平賀某など十七名を磔にして火炙りにしたのだ
「大崎・葛西の一揆は、猖獗を極めており、奥羽全域に広がる情勢でございまする
庄内さらに越後に波及でもするようなことになれば、目も当てられませぬ」
九州の一揆の話、黒田官兵衛殿に伺った時は、聞き流していたが、実際直面すると
切実な問題じゃ。関白殿下の目もある。北辺の些事を、おおげさにされて、国替え
とか無理難題を吹っ掛けられたら大事になる。
一刻も早く、鎮圧せねばならぬのじゃ。

252:日曜8時の名無しさん
16/12/11 19:49:25.88 Kx6qDTnF.net
<反省会>
「われらも反省すること、ありすぎるくらいじゃが、
真田丸オーラスでこれでいいのじゃろうか」
「この脚本には適いませんな」
「感性が合わないな。珍しくインスパイアされることが、ほとんどなかったのう
一年間、何やってるのか、さっぱり、わからぬまま終わるな」
「残念じゃが頭が悪い人。二度と見たくないという感想しかございませぬな」
「ハードディスクの容量が勿体ない戦国大河は初めてじゃったな」
「文句をつけだすときりがない。ただ、あまりにも、くだらないから、文句をつ
ける気にさえならぬのう。歴史リアルの先生も大変じゃったと、同情する。
それがしじゃったら、切れて途中でやめるな」
「命が惜しい武士が、大坂城に集うはずがない。実際、前田利政殿のように
参戦しなかったお方もおられる。関ケ原から十四年、市井で朽ち果てること
こそを恐れていたのではないか、父・昌幸殿のように
最後の死に花を咲かせることができて、満足じゃったと思うけどな」
「どうも、根本的に武士の行動様式を押さえてないから、本当にくだらない
話になる。御恩とか、忠義とか、武名とか、どう考えているのじゃろう」
「理解できてないと思いまする。頭が悪いから。
頭が悪い癖に、人と変わったことやらないと、自分らしくないと思っておられ
るんじゃろうけど、思い付きが全部くだらないコントじゃから、つける薬がな
いなあ」
「残念じゃ。今年の初め、すごく期待した、その気持ちを返してもらいたい
本当に、残念じゃったな」
「登場人物が多すぎるのか、人物造形が全くできておらぬから、その場限りの
苦し紛れの演出を一年間見せ続けられる苦痛は半端なかったのう」
「石田三成主役で、加藤清正とか、七本槍の面々と、大谷刑部とか、固定して
話を掘り下げたほうがよかったと思うなあ。あれだけ、豊臣家に焦点を当てる
のなら。真田も豊臣も中途半端じゃ」
「期待しすぎたのじゃろうか」
「真田太平記は、水曜ドラマとして製作された故、お金をかけれてない。
独眼竜政宗以前のドラマじゃから、古いところもある。
それを、大河らしい製作費で再現してくれるだけでよかったのに」
「権利関係の問題があるのかもしれないけど、原作のない話は、脚本家の
先生の能力を超えておる。もともと、無理じゃったな」
「残念じゃ。普通にやってくれれば、面白くなることは、真田太平記で立証
されておるのに」
「白い巨塔だって、名作の誉高い田宮版がありながら、現代風にアレンジして
歴史に残るドラマになったのに、結局、脚本家の先生の、個性というか、功名心が
すべてを台無しにしたな。もう、映画では、この人は使えないし、テレビドラマで
も無理だと思うな」
「史実とか、視聴率とか、エッセイで、いろいろ言い訳するのも、見苦しい」
「真田信繁に固執していたのも、一体何だったんでしょうね」
「幸村になってるし、最初から、幸村でよかったんや」
「徒労感、これに尽きるよ。なんか、人生の一部、無駄にしたような気がする」

253:日曜8時の名無しさん
16/12/11 22:32:01.65 Kx6qDTnF.net
第四十五話「利休」(1)
「ご家老、わしはどうなるのじゃろう」
天正十八年十月下旬の下越・村上城。
本庄繁長の居城で、本庄と面談している直江兼続である
青菜に塩の本庄繁長、それもそのはず、庄内の一揆を使嗾したという嫌疑をかけ
られているのだ。
「わしが、庄内の一揆を使嗾するはずなど、絶対にない。これは讒言じゃ。
色部の奴が、わしを陥れようとしておるのじゃ」
確かに、出羽の検地を担当させていた色部長真の家臣が聞きこんできた話が
発端じゃが。どうも、おかしい。
「わしは、佐々成政のように、一揆の責任を負わされて、切腹させられるの
じゃろうか」
都に召喚されている本庄、不安でいっぱいの心境のようだ。
「そなたは、上杉の柱石。古志上杉の名跡を継ぐ一門格の重臣じゃ。
上杉の全力を挙げて、そなたは守る」
「ご家老、本当か」
「そなたの三男殿が、元服されたら、それがしの養子にもらい受けよう。
これは男と男の約束じゃ。
しかし、条件がある。
軽挙妄動は、絶対にしてはならぬ。
すべて、それがしの指示に従ってもらいたい」
「ご家老、そこまでお考え下されておるのならば、すべてお任せいたしまする」
「まずは、心配しすぎないことじゃ。御館様もそれがしも同行する。
大船に乗ったつもりで、ゆるりと構えておることじゃ」

254:日曜8時の名無しさん
16/12/18 23:02:04.07 8dhKxDKW.net
第四十五話「利休」(2)
「そうか。本庄も、こたびは相当戸惑っておるようじゃな」
「本人は濡れ衣じゃと主張しておるまする。実際そうなんじゃとおもいまする」
春日山に戻ってきた兼続、早速お船に相談している。
「伊達と蒲生殿が、諍いを起こして居るようじゃ、
蒲生殿は、伊達が大崎・葛西の一揆を扇動しているとみておるようじゃ。
本庄は伊達と親しい。同じことしておるように、取られておるのではないか」
「成程。最上の陰謀かと思いましたが、伊達との関係を疑われておるせいなの
ですか」
流石、上杉の諜報部門を取り仕切るお船、読みは鋭い
「これは、都で解決すべき話じゃ。わらわも奥方様のお供をして上洛するぞ」
「すべては関白殿下の御心のうちで決せられることとなりましたな。
一刻も早く都に上るべきでございましょう」

255:日曜8時の名無しさん
16/12/25 23:06:10.57 1xJevV/f.net
第四十五話「利休」(3)
 暮れも押し詰まった十二月下旬、本庄繁長とその息子・大宝寺義勝を伴い、上杉
勢が上洛する。
「関白殿下、こたびの本庄に対する嫌疑、われら上杉家一統、驚愕しておるところ
でござりまする」
さっそく、聚楽第の関白殿下に伺候した景勝と兼続、対面が済んだ後、茶室に招かれ
秀吉にねじ込む兼続である
しかし主人役を喜んで務めている豊臣秀吉、悠々迫らず
「直江、この茶碗はどうじゃ。日本ひろしといえども、いくつもない逸品じゃ」
信玄公は、茶など町人のすることじゃと馬鹿にしておったが、そんなことを
思いながら、仕方なく調子を合わせる兼続
「漆黒のなかに星空が煌めくような景色でございまするな。冬の夜空を映したよ
うな茶碗でございまするな。これが利休好みとか申される名品でございまするか」
「いや、利休好みは、このように端正なものではないなあ。織部などと、歪な素朴な
茶器を趣があると申して、愛でて喜んでおるわ。不健全じゃ」
そんな趣味の話はどうでもよい兼続
「本庄は、上杉の重臣。こたびは御館様も大変心を痛めておりまする」
無口な景勝、ここぞとばかり大きくうなずく
「はは。こたびの本庄の一件、本丸は伊達じゃ。本庄は伊達と親しいじゃろ。
伊達の奴は、葛西・大崎の一揆を扇動して木村を追い出し、そのあとに自分が
居座るつもりのようなのじゃ。蒲生が証拠を握ったと石田より連絡があった
伊達も都に召喚し、処罰するつもりなのじゃ。その、前触れとして本庄は
呼ばれたのじゃ」
「本庄は無実でございまする。どうか、寛大な処置をお願いいたしまする」
「それでよいのか」
それでよいのです
「本庄は、庄内で恨みを買いすぎじゃ。このまま、本庄が統治すれば、一波乱あるのは
必定じゃ。直江が直接治めたほうが良いのではないか、恨みを流し長久の治政を確立せ
ねばならぬのではないか」
なんと、千里眼じゃ。関白殿下は恐ろしいほどの切れ者じゃ
「喧嘩両成敗という名目で、本庄親子は流罪にする。しかし、時期を見て許すつもりじゃ
それで、どうか」
ホッとする兼続、上杉の鼎の軽重が問われる事態をうまく切り抜けることができたあ、
しかし、関白殿下は、なんでもごぞんじじゃな。おそらく、諜報機関が全国で活動して
おるのじゃろう。その指揮官は誰なのじゃ。


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