22/06/26 08:24:04 .net
―もうひとつ、興味深かったのが安倍晋三の叔父(父・晋太郎の異父弟)にあたる故・西村正雄氏(みずほ銀行の前身、元日本興業銀行頭取)の存在です。
甥(おい)っ子である晋三の歴史観や戦争観を正面から批判し「偏狭なナショナリストと離れろ」と警鐘を鳴らし続けた肉親がいたという事実を初めて知りました。
松田 亡くなられる直前、2006年に何度かご本人にお話を伺いました。
「晋三はしっかりとした自分の考えがない。戦争への実感や歴史に対する理解が欠けている」と苦言を呈しておられましたね。
当時は、第1次安倍内閣が成立する前でしたが、わざわざ晋三に長文の手紙も送られていました。肉親のひとりとして心から心配してのことだったのだと思います。
―確かに、戦争に対する現実感の欠如や「言葉の軽さ」は安倍首相の大きな特徴ですね。
松田 岸信介という人物の評価については様々な議論がありますが、岸は少なくとも有能な官僚として出発し、満州国で後の政治家としての強力な基盤をつくり上げ、戦前・戦中・戦後の日本を生き抜いてきました。
GHQにA級戦犯容疑で捕らえられ絞首刑寸前で釈放されるという経験もしている。
それに対し晋三は、偉大な祖父のイメージを追いかけているだけで、肝心の戦争や歴史への実感が決定的に欠けているように思います。
岸も「日本の侵略」を認めない立場でしたが、時と場所を考えず安易に口にするようなことはしませんでした。
―この一冊を通じて、この国の政治やその未来が安倍晋三の「極めて私的な家族の問題」に影響されているのではないか、という恐ろしさをあらためて感じました。
「選ばれた一族」という意識や「血脈へのこだわり」なんて一般人にはなかなか理解しづらいものがあります。