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564 名無し草 sage 2017/04/15(土) 12:12:14.70
ヅル リレー小説
「あっ雪」
見上げて僕は大きくため息をついた
2週間後にはGPFが控えている
異国の地、ここカナダで、どれだけジャンプを跳んだんだろう。
スピンは週に5分だけど。
さぁ、ママのいるマンションに戻ろう。
590 名無し草 sage 2017/04/15(土) 12:16:40.00
>>564
「ゆづ、おかえり」
家に帰るとママが出迎えてくれる。
にんにくの強い香りが台所から漂ってくる。
「チンチャ、スンドゥブチゲニダ！」
喜びのあまりつい母国が漏れてしまう。
ここ最近はコンビニやルームサービスばかりで手料理なぞ食べたことが無かったのだ。
625 名無し草 sage 2017/04/15(土) 12:21:36.03
>>590
急いで手を洗い二人で食卓を囲む。
「チャルモッケスムニダ！」
くどいコチュジャンが寒さで乾いた喉に染み込んでいく。
久しぶりのママの手料理に舌鼓をうちながら今日クリケットであったことを報告する。
ジュニアの女子に怒鳴られたこと、トレーシーは猫の泣き真似ばかりすること…
762 名無し草 sage 2017/04/15(土) 12:38:52.43
>>625
「…今度のGPFはどうなの？勝てそうなの？」
神妙な面持ちで、だがしかし優しい声音でママが尋ねた。
「…ハビもいるしネイサンや宇野も伸びてきてるけど大丈夫、
何たってぼくには憲ちゃんが居るから」
ママの目を真っ直ぐに見つめながら出来る限り凛とした声でぼくは答える。
しばし真顔で見つめ合ったあと、ママは綻ぶように優しく笑う。二日月のような目がますます細くなって糸のようだ。
「そう、頑張ってね。もう銀は嫌だな」
857 名無し草 sage 2017/04/15(土) 12:48:34.08
>>762
―銀じゃ嫌だな―
分かっている、そんなの自分が一番分かっている。
ママの首に掛けるメダルの色は金でなければならない。それ以外の色などママにも僕にも似合わない。
黒々とした感情が体中を駆け巡り、居てもたっても居られなくなる。
自分の中に流れる火病民族の血筋に抗えない。
ぼくは衝動的に立ち上がり、全てを吐き出すように絶叫した。
「弱いようで強い僕！！！！！」
テーブルの上のスンドゥブチゲが零れた。