【腐女子カプ厨】進撃の巨人雑談1535【なんでもあり】at NANMIN
【腐女子カプ厨】進撃の巨人雑談1535【なんでもあり】 - 暇つぶし2ch545:名無し草
14/05/18 16:33:37.47 .net
廊下の壁にもたれかかりながら、目の前の扉が開くのをぼんやりと待っている。
右と左、どっちが先に開くかな。先に入ったのは右だけど、支度に時間がかかりそうだから左が先かもしれない。
そんなどうでもいいようなことを一生懸命考えながら、本当は一番考えなきゃいけないことから目を逸らす。
どっちが先に開いたって用意しておかないといけない表情は笑顔の一択しかないのに、それがどうにも上手くできなくて、もう何度目かもわからないため息をついた。
俯いた視界に入ったのは、はき慣れない淡いピンク色のハイヒール。今着ているドレスと合わせて、今日の為にあの人がプレゼントしてくれたものだ。
きっと彼女と一緒に選んだんだろう、そう考えたら素直にありがとうとは言えなかった。
ああ、本当に私って嫌な奴だ。鈍く疼き出したつま先の痛みを持て余しながら、意味もなく宙を仰ぐ。
いっそのこと、今すぐ世界が終わっちゃえばいいのに。地球が爆発するとか、隕石が落ちてくるとかさ。
そうしたら、もう何も悩まなくて済むのに。とうとう現実逃避を始めた私をあざ笑うかのように、耳障りな音を立てて右の扉が薄く開いた。
「花嫁様のご準備ができましたので、どうぞお入りください」
隙間から顔を突き出して、プランナーさんが満面の笑みを浮かべて促す。それが作り笑いだとしても私より何十倍も幸せそうだと思いながら、床に張り付いたように動かない足を無理矢理に前に踏み出した。
さりげない動作で扉を抑えてくれるのに礼を言って、大きく開かれた扉からするりと中へ入る。
「…エレンちゃん」
入るなり名前を呼ばれて、ゆるゆると顔を上げる。目に飛び込んできたのは、眩いばかりの白、白、白。薄暗い廊下とのギャップについていけなくて、少しだけ目を細めた。
「どう、かな?変じゃない?」
プリンセスラインのウエディングドレスを身にまとって振り返った彼女は、おどけたようにそう言って優しく微笑む。その表情に、宥め切れなかった心の奥底がざわめき出す。
綺麗だね、とか、良く似合うよ、とか。何か褒め言葉を言わなくちゃと思うのに、口を開けば何を言ってしまうかわからなくて、それを抑えるためにぎゅっと唇を噛み締めた。
その様子を見た彼女が、少し寂しそうに視線を落とす。
彼女にとって一世一代の晴れ舞台を迎えるその日に、そんな表情をさせてしまったことに、罪悪感で胸がちくりと痛む。


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