17/03/11 19:15:40.63 jH/Jf5WH0.net
老舗リートはリーマンショックと言う究極のストレステストを耐えて生き延びた経験から、
この1-2年は物件取得を控えてLTVを低めに抑えている
一方、アベノミクス以降に雨後の筍のように出てきた銘柄は、
資産規模に比例した運用報酬を増やすため、過熱気味の売買価格にも拘わらず物件取得に励んでいる
古参のリート投資家なら、2006年をピークにした所謂『不動産プチバブル』を思い出す人も少なくないだろう
あの頃も新興ディベロッパーやファンド系のリートが数多く誕生し、
2008年以降の金融危機に飲み込まれ、潰され、流されて消えて行った
では、リーマンショック(リートではNCRショックか?)の後に何が起こったか検証してみよう
不動産市況が一旦下落に転じると、そのサイクルは数年から10数年に及ぶ
保有不動産の評価額が含み損になると時価LTVは表面上のLTVより高くなり、
将来の更なる財務状況悪化を恐れた銀行の融資姿勢は手のひら返しで厳しくなる
貸し手優位になると銀行は貸出スプレッドは拡大し、
様々な理由を付けてアップフロント・フィー、アレンジメント・フィー、
エージェント・フィーなど高額な融資関連費用を要求する
これがリートの財務健全性、収益性を更に悪化させ、分配金減少により投資口価格は大きく下落し、
増資による資金調達が困難になって外部成長がストップする
この段階に於いては、銀行にとって新規融資など論外である
有利子負債リファイナンスのたびに過酷な融資条件を飲まされるリートの泣きっ面に蜂が襲うように、
数年に一度の賃料改定でテナントは退去をちらつかせて大幅減額を要求してくる
減額ならまだ良い方で、不景気よりテナントの退去が多くなるとダウンタイムが長くなり、
フリーレント等のリーシングコストは上昇し、テナント入替時賃料は下がり、NOIは急速に縮小する
こうして外部成長の停止から1年程度遅れて内部成長の逆回転が表面化し始め、
投資口価格は泥沼のような長期停滞期を迎える
特にスポンサーの信用力が低いところは融資の貸しはがしが起こり
期限一括返済の条件が約定弁済付に変更させられ、資金繰り悪化により修繕費の抑制が余儀なくなる
保有物件のメンテナンスがおざなりになればテナントの退去が増え、
埋め戻しが困難になるのは当然の帰結であろう
こうして苦境に陥ったリート群は金融庁、国交省の指導の下で身売りを余儀なくされ、
或る者は合併により、或る者はスポンサー変更により、リート市場から退場して行った
ここ数年の新規上場リート銘柄を見ると、あの頃を思い出さずにはいられない