26/07/11 07:44:17.40 HJVdUUFn.net
大規模なドローン攻撃作戦によりロシアに例のない深刻な燃料危機を引き起こしつつあるウクライナ。これに対し、連日キーウなどへの大規模なミサイル攻撃で報復するロシア。5年目に突入した侵攻でくっきり見えてきた両国の違いとは何か。
両国の攻撃からわかるのは、斬新な戦略を展開するゼレンスキーと、新たなアイデアもなく、惰性の戦争を続けるプーチンという大きな落差だ。
ウクライナはロシア全土の燃料関連施設をドローンやミサイルでじゅうたん爆撃のように攻撃している。この新戦略は奏功し、現在、戦争で明確な優位性を確立しつつある。
逆に今のプーチンには明確な戦略転換は見当たらない。ウクライナ東部など地上戦で自軍での戦死傷者の急増に目もくれない肉弾攻撃を続けている。しかし、劇的な進展はなく、勝利への展望を見失っていると言える。
ロシアをガソリン不足に陥れたゼレンスキーの2つの戦略的目標
ゼレンスキーが今回のドローン・ミサイル攻撃で打ち立てた戦略的目標は、2つある。
第1に、石油関連施設などを集中的に攻撃して、ガソリン不足に代表される燃料危機をロシア国内で起こす。これにより、重要な後方たる経済・社会に混乱を引き起こし、ロシアから継戦能力を奪う。
第2に、その結果として、クレムリン周辺の政権エリ―トをして、もはや侵攻継続は無理であると悟らせ、終戦を頑なに拒否するプーチンへの停戦圧力を高める。
第1の目標に関して、筆者は「G7サミットで『賭け』に勝ったウクライナ」で、ウクライナがモスクワに初の大規模ドローン攻撃を敢行し、この結果、市内用ガソリンの約40%を供給していた首都最大級の製油工場に火災が起きたと書いた。
結局、この攻撃で同製油所は年末まで操業できなくなった。ロシアにとって大打撃だ。モスクワ市内周辺では、不足したガソリンが大幅に値上がりし、長い行列ができるなど大きな影響を受けた。ガソリン不足はほぼロシア全土に広がっている。ロシアが違法併合したウクライナ南部クリミア半島では島内半分が停電中といわれる。
7月に入ってからも攻撃は続いている。そのハイライトは西シベリアにある、製油能力が国内最大級のオムスク製油所への攻撃だ。同製油所の操業が止まったことで、ロシアにおける製油能力は、50%以上縮小したといわれている。
この攻撃の特徴は、長距離であることだ。ウクライナとの国境から2800キロも離れているのだ。ドローンがこれほどの距離を克服できたため、現在、ロシアの主要製油所の85%が、潜在的にウクライナの長距離ドローンの射程内にあるといわれる。
ウクライナがさらにドローン攻撃の対象を地理的に拡大するのは、確実だ。となれば、ロシアの精製能力はさらに減少する。ロシアにとって、防空網などで守りにくい国土の広大さが弱点になった形だ。
その意味で、ロシアの燃料危機はまだ始まりと考えるべきだ。「ロシアにとって地獄はまだこれからだ」というウクライナ側の発言が不気味に響く。
今後起こりそうなロシアの経済・社会的な危機とは?
こういう状況の中、今、ロシア側専門家が懸念し始めたのは、問題が単に自動車用のガソリン不足に終わらず、経済全般に波及する可能性だ。ガソリン以外にも、ディーゼル燃料、航空機用燃料という3つの主要な石油製品の生産が大幅に減少するという見立てだ。
特に懸念されているのは農業への深刻な影響だ。具体的には、今秋の収穫時期を前に、ディーゼル燃料の不足でトラクターが動かなくなり、収穫量が大幅に減少しかねない。さらに収穫や食料品を都市に運ぶトラック便も減少し、食料不足が顕在化するとの予測もある。専門家の間では「パンがなくなるのではないか」との声が出始めている。
このような深刻な影響が懸念されているガソリン危機に対し、クレムリンの対応はどうなのか。
率直に言って、後手後手に回っている。プーチンは、ガソリン不足について「危機的ではない」と述べるなど、具体的対応より、世論の鎮静化を優先した。本稿執筆時点でも明確な対応戦略を打ち出すことができていない。
つづき
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