25/12/31 20:03:41.76 h5M+AIFv.net
ここ数年、「ご当地うどん」がブームとなっている。2025年は福岡のうどんが脚光を浴び、北九州市の「資さんうどん」と福岡市の「因幡うどん」が東京に進出して話題となった。その前は埼玉県の武蔵野うどんや、山梨県富士吉田市の吉田うどんがブレークしたのも記憶に新しい。都内を見渡せば、讃岐うどんは専門チェーン店が隆盛し、秋田県の稲庭うどんや、愛知県の味噌煮込みうどんも飲食店のメニューでよく見るようになった。その他にも、高い知名度を誇るご当地うどんは枚挙にいとまがない。
そんなブームを反映してか、ここ数年の「うどん市場」は活況を呈している。特に最近はコメの価格が高騰する一方で、小麦粉は比較的価格が安定していることから、安くておいしいうどんを求める消費者のニーズが高まっている。
ところが、である。不思議なことに、大阪府、京都府、兵庫県を筆頭とする関西圏のうどんは都内ではめったにお目にかかれない。「関東のそば、関西のうどん」という表現もあるように、関西は歴とした“一大うどん圏”だ。総務省の家計調査でも、「生うどん・そば」の年間購入量(22年~24年の平均)は、1位の高松市に続き、2位は大津市、3位は堺市となっており、その後も京都市(4位)、和歌山市(5位)、大阪市(6位)、神戸市(7位)と関西圏の主要都市が上位を独占している。
それにもかかわらず、「関西風うどん」は全国的に知名度が低く、専門店が都内に進出している形跡もない。一体なぜなのか。
関西の伝統料理の普及・継承のため活動を続ける「日本コナモン協会」の熊谷真菜会長は「関西人にとってうどんは『当たり前』の食べ物なので、ご当地うどんの一種だと気づかないという“盲点”があります」と話す。
「本来なら関西のうどんはたこ焼きやお好み焼きと並ぶ“コナモン”の筆頭格なのですが、生粋の関西人でも忘れてしまっています。さらに関西風うどんは讃岐うどんとの“融合”が進んだことで大きな影響を受けました。1970年の大阪万博で讃岐うどんの手打ち実演が評判となり、関西人は『こんなうまい麺があったのか』と衝撃を受けました。ご存じの通り讃岐うどんは麺が命で、その味わいを重視して出汁醤油だけで食べる『生醤油うどん』は象徴的なメニューだと言えます。ところが関西でも讃岐うどんの店が増えていくと、『関西の出汁に讃岐うどんの麺を入れたら完璧じゃないか』と気づく職人さんが出てきたのです」
■関西風は「麺が目立っては駄目」
香川県から関西圏は距離的にも近い。熱心なうどん店の経営者や職人は双方で会合を持ち、互いに情報交換するなかで、両者のうどんは“融合”していった。
「そして今、関西圏のうどん店と言えば、大半が『関西風の出汁を使った讃岐うどん』が中心になってしまいました。讃岐の麺を使わない伝統的な関西風うどんのお店は減少の一途をたどっており、『日本コナモン協会』としても危機感を抱いています。インパクトが強い讃岐うどんの麺に関西風の出汁をかけ、揚げたての天ぷらを載せるというスタイルは、それこそ本場の香川県でも人気となっています」(熊谷氏)
では、熊谷氏が言うところの「伝統的な関西風うどん」とは、どのようなものなのか。その定義について、辻調理師専門学校で日本料理の教員を務める石田充さんは「関西のうどんは庶民的な食べ物ですから、価格を安くする必要があります」と前置きした上で、こう語る。