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Image: Choksawatdikorn / Shutterstock
猫の手ならぬ、プランクトンのうんちも借りたい温暖化対策。
真面目な話、ここ数年のヤバい気候を経験すると、温暖化を緩和できそうな手段はなんでも使わなきゃっていう段階が近い気がします。そんな「なんでもやらなきゃ」のお手本のような温暖化対策が登場しました。
それは、海洋を漂う動物プランクトンの「うんち」と一緒にCO2を海底へ沈めちゃえという斬新なやり方です。
プランクトンのうんちが世界を救う
ダートマス大学の研究チームは、動物プランクトンのエサに粘土粒子を加えて、海洋での炭素固定を促進するという手法を考案しました。この興味深い研究成果は、学術誌Nature Scientific Reportsに掲載されています。
海洋はとても優秀で、年間約1500億トンものCO2を大気から除去しています。その過程で重要な役割を果たしているのが、数百平方マイルにわたって広がる藻類の大発生(ブルーム)。
通常、藻類がどんなにCO2を有機炭素に変えても、ブルームが消滅すると海洋バクテリアが大部分を分解して大気に戻してしまいます。
そこで研究チームは、「生物ポンプ」と呼ばれる海洋の自然な炭素輸送システムを利用して、藻類のブルームが終わるタイミングで粘土の粉末を海面にばらまくという手法を考案しました。
この粘土は、有機炭素と結合して小さな粒子を形成します。そして、それを動物プランクトンが食べてくれるというわけです。
海洋の炭素輸送システムを効率化
実験の結果、藻類の残骸に粘土が付着すると、バクテリアが粘着性のある物質を生成し、粘土と藻類の残骸が凝集して小さな塊(専門用語で「フロック」)を形成することが確認されました。
動物プランクトンがこのフロックをエサとして摂取し、消化後に排出されるフンが深海に沈んでいきます。こんな風に、大気中に戻るはずだったCO2が、プランクトンのフンと一緒に数千年単位で海底に隔離される可能性が高まるそうです。
研究を率いたDiksha Sharma氏は、この炭素輸送システムについて以下のように述べています。
「私たちの手法の斬新な点は、粘土を用いて生物ポンプをより効率的にすることです。粘土を含んだ動物プランクトンのフンはより速く沈んでいきます」
研究チームの実験では、死滅した植物プランクトンから大気中に放出されるはずだった炭素の最大50%を粘土粒子が捕捉しました。また、粘土を加えたことによって、沈む過程で更なる炭素を集める粘着性の有機粒子の濃度が10倍に増加したといいます。
動物プランクトンは、夜間に表層まで上昇してエサを摂取し、日中は深層に戻ってフンを排出します。この日周垂直移動(深い場所と浅い場所を行ったり来たりすること)により、炭素を含むフロックは数日で深海に運ばれるのだとか。大気中に放出されるはずのCO2が数千年も海底にいてくれるとかなり大きい。
実用化に向けた課題
とはいえ、今すぐに「はい、実用化」とはいかないみたいです。Sharma氏は、南カリフォルニア沖で植物プランクトンの大群に粘土粒子を散布する実地試験を計画しています。効率を把握するために、さまざまな深さにセンサーを設置して、異なる種類のプランクトンによるフロックの消費状況を観察する予定とのこと。
この技術の実用化には、最適な実施場所と時期の特定が不可欠といいます。研究チームは慎重に検証を進めており、海洋環境への影響も考慮しながら、効果的な温暖化対策の確立を目指すそうです。
小さな動物プランクトンたちの大活躍に期待しましょう。食って食って出しまくれ。
Source: Sharma et al. 2024 / Scientific Reports, Dartmouth College
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