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17日の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事は序盤に劣勢も伝えられたが、最終的には110万票を超える得票で、次点の元同県尼崎市長、稲村和美氏に大差をつけての圧勝となった。巧みに交流サイト(SNS)を利用し、有権者を味方につけたことも一因とされるが、実際に斎藤氏の得票率が高かった自治体の有権者は何から情報を得て、何を頼りに一票を投じたのか。
有力者の影響
兵庫県中央部に位置する人口約1万8千人の多可町。「敬老の日」発祥の地とされ、今年2月時点での高齢化率は40・8%と県内で8番目に高い。そんな同町で斎藤氏は49・9%の得票率を残し、稲村氏に約14ポイントの差をつけた。
兵庫県多可町役場
令和3年12月、失職前の1期目の斎藤氏が、県庁を離れリモートで業務する「ワーケーション知事室」を初めて行ったのがこの町だ。実現には近辺を地盤とし、斎藤氏とも近い有力県議の存在があったとされる。
「(県議の)影響はあるやろうね」と話すのは地元の無職男性(87)。今回の選挙戦で、この県議はあまり前面に出てこなかったというが、男性はそれでも斎藤氏に一票を投じた。選挙前は斎藤氏のパワハラ疑惑などが盛んに報じられたが、「この辺は悩んだ人は少ないかも。人間だれしも間違うことはある」。SNSに影響されず、この男性のように昔ながらの感覚で斎藤氏に投票した高齢者は少なくないとみられる。
同町の女性(71)も「真実が見えてこないので迷った」としながらも、斎藤氏に。SNSを中心に斎藤氏の〝援護射撃〟を繰り返した政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏の動画も閲覧したが、「あまり気にしない」と意に介さなかった。
一方、女性会社員(47)の高校3年生の娘はSNSを参考に斎藤氏に投票したという。「衆院選でも(投票に)行かなかったのに、今回は『行く』と言って。関心も高かったみたいですね」と話す。
都心部席巻
神戸市では、全区で斎藤氏が稲村氏を上回ったが、なかでも沿岸中央部にある中央区、兵庫区では斎藤氏の得票率が約5割を占めた。
兵庫区のデザイナーの女性(28)は、SNSや立花氏の動画の影響を率直に明かす。「テレビや新聞で取り上げられていない事実が公開されていた。立花さんの動画は、自分の気持ちが変わるきっかけになった」
「結局何が本当の情報か分からなかった」と悩みながらも斎藤氏に一票を投じたのは同区の会社員女性(24)。最終的には各候補者が自ら発信する政策発表の動画などを参考にした。「最後まで迷いました」と困難な選択だったことを打ち明けた。
「判官びいき」も
稲村氏が令和4年まで3期、市長を務めた同県尼崎市では、稲村氏が意地を見せて勝利した。とはいえ、投票率が上がったこともあり、斎藤氏も前回の1・5倍近い票を得た。
パワハラ疑惑で失職した斎藤氏は論外と考えていた30代の会社員男性だが、SNSを見て「斎藤さんは悪くないかも」と思い始めた。県内22市長が稲村氏の支持を表明したことで「逆に応援してあげなくては」と投票先を変えたという。「判官びいきもあったのかな」と話す。
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