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ペッパーフードサービス<3053>が、主力事業の「いきなり!ステーキ」に次ぐ経営の柱の育成に向け、新業態の展開に乗り出した。
同社は2024年11月下旬に「ひとりすき焼き」をコンセプトにした、落ち着きのある離れの茶室のような店舗の1号店を東京都港区の新橋に出展し、将来は30店舗ほどに拡大する。
新業態については「ひとりすき焼き」のほかにも、多様化する食の志向や立地に合わせて複数展開する計画を打ち出している。
外食産業では企業買収によって新業態を取り込む事例が少なくないだけに、今後の新業態の展開でM&Aの出番もありそうだ。
立ち食いからカウンター席に
「ひとりすき焼き」をコンセプトにする店舗は、立ち食いスタイルの「いきなり!ステーキ」とは異なり、カウンター席が中心。
顧客ごとにニーズに合わせた調理方法を採用し、店員が顧客の目の前で肉を焼くため、食を楽しみながら和の原体験が味わえるという。
メニューは和牛を中心に、ブランド牛などを使用するほか、卵や米も国産にこだわり、割り下は自社開発したオリジナルを使用する。
6期ぶりの営業黒字がほぼ確実に
ペッパーフードが、こうした新業態展開にチャレンジする背景には、業績の好転がある。2024年11月14日に発表した2024年12月期第3四半期決算によると、四半期の営業利益が第2四半期に続き2期連続で黒字化している。
その2024年12月期は売上高139億8300万円(前期比4.1%減)、営業利益は8900万円(前期は4億9000万円の赤字)を見込む。
また2024年8月に発表した2024年12月期第2四半期決算では、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象や状況は解消したとして、2020年12月期第1四半期から続けていた「継続企業の前提に関する注記」の記載を取りやめており、資金繰りも改善傾向にある。
同社は自社店舗同士の競合などの影響で営業赤字に陥った2019年以降、5期連続で営業赤字となっていたが、ようやく長いトンネルから抜け出せることになる。
新業態の開拓にM&Aも俎上に
M&Aについては適時開示ベースでは、コロナ禍にあった2020年の「ペッパーランチ」事業の売却と、2009年のハンバーグなどの洋食を提供するレストラン事業の買収の2件がある。
適時開示はしていないが、2019年にハイエンドのステーキ店「Prime42 BY NEBRASKA FARMS」の事業を取得した案件もある。
新業態の開拓にM&Aを活用した経験があり、経営方針に新業態の積極的な開拓をかかげる同社だけに、新業態の企画、検討でM&Aが俎上に載ることは、まず間違いないと言ってよさそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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