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ファンに徹底的に向き合うことで、北海道にとどまらない人気を獲得しつつあるセイコーマート。そのファンマーケティングについて改めて考えたい(筆者撮影)
2024年8月決算において、コンビニ大手三社の中で唯一減益になったセブン・イレブン。減益の直接の原因ではないものの、この報道に端を発して、かねて指摘されていた「上げ底弁当」などのステルス値上げ(疑惑)が炎上のタネになっている。
文春オンラインが永松社長に突撃取材をした際、「本当に上げ底ですか?」などと記者に問いただした対応も火に油を注いでしまった。
一般論として、こうしたステルス値上げはネット上ではよく話題になるが、“直接的な値上げを回避する、企業の工夫“とも考えることができ、企業側も消費者を騙そうなどとは思っていない(はずだ)。セブンの場合もおそらくそうなのだろうが(そうだと信じたいが)、企業と消費者のコミュニケーションの難しさを再確認する事例となった。
実は、セブンが現在直面している問題はさまざまなビジネスで重要な問題だ。それが、「ファン」とどう向き合うか、ということである。
グレイトフル・デッドとセイコーマートにマーケティングを学ぶ?
ファン、という言葉を唐突に出したが、これは以前、私がセブンについて書いたときに引用した『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』に出てくる言葉だ。
ファンマーケティングの観点から分析してみると…
同書では、グレイトフル・デッドというアメリカの伝説的なバンドの活動をもとに、ファンマーケティングの重要性や方法論が書かれている。
この中に「ファンのために最前列を空ける」というものがある。顧客の開拓をする前に熱狂的なファンのためにライブの席を空ける、つまり「ファンファースト」の重要性が説かれているのだ。
私の記事では、セブンが「ファン」を重視できなかったのではないか、と書いたのだが、これに対する反応で面白いものがあった。「コンビニ業界なら、セイコーマートがグレイトフル・デッド的ではないか?」という指摘だ。
セイコーマートは北海道を中心に店舗を拡大しているコンビニで、全国に1191店を構える。うち、1093店は北海道にあり、道民にフォーカスを当てている。
そんなローカルチェーンともいえるセイコーマートだが、一体どこがグレイトフル・デッド的なのか。実際に行って確かめてみた。
セイコーマートに行ってみた
というわけで、北海道にやってきた。
道を走っていると、かなりの頻度でセイコーマートを目にする。店の外には電光掲示板があって、商品の宣伝とともに、北海道各地の天気や気温が表示されている。これだけでも他のコンビニチェーンとは雰囲気が違う。
中に入ってみよう。店内を見ていて気付くのは、食品の豊富さだ。
とくに、惣菜などの取り扱いが多い。スーパーマーケットなのでは?と思ってしまうぐらいに惣菜を取り扱っているところもある。
北海道は広く、スーパーマーケットなどに行くのにも遠い場所が多い。そんな中でセイコーマートにこうした食品があると、道民にとってはありがたい。
ちなみにセイコーマートは、通常のコンビニが行うドミナント戦略を行っていない。これは、ある地域に大量出店することによってその地域でのシェアを独占し、他社がそこに出店しにくくする戦略のことだ。
しかし、よくよく考えればこれ、消費者にとってはとくに大きなメリットがあるわけではない。実際都心部では50m先に同じコンビニがあったり、通りを挟んで2つ同じコンビニがあったり、なんてことは日常茶飯事。けれど、こうした状態は消費者にとって強い魅力があるかといえばそうではない。
セイコーマートはドミナント戦略を「加盟店の存続の支障となる可能性がある」として行っておらず、逆に大手のコンビニが出店しない過疎地や島嶼部にも積極的に出店を行っている。
王道の戦略からは離れているように見えるが、これによって、過疎地でも利便性が高まり、「道民のライフライン」になる。まさに、主要顧客層で、同時に「ファン」でもある「北海道民」を第一にした戦略を行っているのだ。
さっそく、ナイス・グレイトフル・デッド、である。
つづき
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