24/11/16 07:33:18.62 9EtDumB1.net
本当に手取り収入は増えるのか? 国民民主党が提案する「103万円の壁」の引き上げが注目を浴びている。
この壁は周知のとおり、給与収入から差し引くことができる48万円の基礎控除と、給与額に応じて変動する最大55万円の給与所得控除の合計だ。収入が103万円を超えると所得税がかかるため、親の扶養に入っている学生などから“越えてはならない壁”として認識されてきた。
「バイトしすぎると自分だけでなく親の税負担も増えるようで、月のバイト収入は8万円。奨学金でさらに月8万円もらってますけど、仕送りなしなんで、一人暮らしだとカツカツです。服代と遊ぶカネはスロットで稼いでます(編集部注:スロットによる収入に関しても一次所得ないし雑所得として申告の必要あり)」(20歳・都内在住の大学生)
■10万円以上の税負担
18~23歳の子供を扶養している親の場合、子供の収入が年間103万円を超えると特定扶養親族の控除(63万円)が使えなくなる。所得税と住民税合わせて、ざっと10万円以上の税負担が発生するかたちだ。
国民民主党は、この103万円の壁を178万円に引き上げることで、働く時間を短くする労働調整を解消し、インフレが進む中で押し下げられる傾向にある可処分所得の増加を図ろうとしている。
引き上げ額の根拠は、控除枠が103万円になった1995年以降の賃金上昇率だ。東京都の最低賃金が30年で1.73倍に上昇しているため、控除枠も1.73倍の178万円に増やすのが妥当としている。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は、次のように話す。
「インフレの進展により消費税の負担は増えているほか、インボイス制度で売上1000万円以下の事業者にも実質的な消費増税が行われている。実質賃金が上がらないので税負担は増える一方なので、控除枠を拡大して国民に一定額を還元するのは当然のことです」
おそらく、この減税策に反対する国民はほぼいないだろう。だが、政府は決して前向きではない。その一つの理由は財源問題だ。
政府の試算によると、控除枠178万円への引き上げにより見込まれる税収の減少は7.6兆円。村上誠一郎総務相はそのうち4兆円が住民税の減収分に当たるとして、地方財政の悪化により住民サービスの質低下に繋がる可能性を示唆した。
■有効活用されていない
だが、荻原氏は「財源問題は解決できる」と話す。
「コロナ禍を挟んでもここ5年で国の税収は58.4兆円から72.1兆円へと約14兆円も増えている。それに伴い、国の“第2の財布”である基金の残高が膨れ上がっています。国の府省庁が設置する約190の基金の残高は2022年度末時点で16兆6000億円。地方自治体を合わせれば基金の数は3000にも及ぶので、さらに残高は増えます」
荻原氏は、問題はその基金のお金が有効活用されていないこととして、こう続ける。
「例えば、中小企業の借入金利の補填を目的にした特別利子補給事業という基金には1000億円以上投入されましたが、使われたのは147億円だけ。こうしたムダな基金の解消や税収の上振れ分、政府の裁量で使える数兆円の予備費などを活用すれば、控除枠拡大による税収減はカバーできると考えています」
そもそも政府試算の7.6兆円の税収減の議論には、減税による経済効果が勘案されていない。
つづき
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