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- 暇つぶし2ch2:その日も、聡さんは、学校が終わると、白い息を吐きながら病院へ急いだ。 「おばあちゃんが死んじゃっていませんように」とそれだけを念じながら祈る気持ちで病室に駆けつけたのだが……。  祖母がいる部屋の前で、彼は驚いて立ち止まった。 祖母が母と面白そうにお喋りしている声が、廊下までもれていたのだ。  ずいぶん賑やかに、笑い混じりで盛んに話しているではないか。 病室に入ると、ますますびっくりした。寝たきりになって久しかった祖母が、なんと上体を完全に起こして、ベッドに座っていたのである。  急に回復したのだろうか? と、一瞬期待したが、病室に入ってきた彼を振り向いた母は、困惑しているような、怯えているような、何とも言えない微妙な表情を顔に浮かべていた。 その理由は、すぐに明らかになった。 「トキちゃんと今度一緒にご飯食べに行くの! ついでに那覇で買い物してくるつもりなんだよ。いいでしょう?」 祖母が、はしゃいだようすで話している内容が、変なのだ。 「トキちゃん、旦那さんと仲良くやってるかしら? いつかみんなで一緒に東京に行くことがあったら、私が東京中、観光案内するんだけどなぁ」 那覇は沖縄の県庁所在地で県内随一の繁華街がある場所だ。  祖母は東京生まれの東京育ちだ。しかし若い頃、沖縄県に住んでいたということは、聡さんも知っていた。 祖母が沖縄に滞在していた時期に、地元の青年だった祖父と出逢って結婚したということも、家族の歴史として聞き知っていることだった。 さらに夫婦共通の友人に「トキちゃん」という女性がいたことも……。  なんとなれば、聡さんの母は、このトキちゃんの娘なのである。 昭和時代に沖縄に誕生した二組の男女。彼らの友情が、お互いの子ども同士を引き合わせた結果、聡さんと弟が生まれたわけだ。  しかし祖母のかつての親友「トキちゃん」こと母方の祖母は、母方の祖父ともども、故人となって久しかった。 祖母の連れ合いも、何年も前に亡くなっている。ただひとり、祖母だけが生き残っていたのだ。 祖父が東京で仕事を得て家を建て、家族で暮らすようになったのは昭和30年代か40年代か……。とにかく大昔のこと。 それからこれまでの数十年間を祖母は忘れてしまったようだった。 ボケちゃったんだ、と、聡さんは思った。 〔記事元:TOCANA〕 https://tocana.jp/2019/09/post_109034_entry.html >>2に続く




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