20/11/14 12:36:25.01 cJMyO1980.net
彼は魅入られてしまったのだ。悪魔に。
相場の世界に潜む悪魔に。
そいつは人々の好奇心を刺激ししばしば人々を魅了し狂わせ数多く人間の人生を飲み込んできた。
FXはそのなかでも、もっとも魅力的で恐ろしく強大な力を持つ悪魔である。
今日も悪魔は笛を吹き人々を魅了しては一人また一人と列に加えてゆく。
集まってくるのは心に傷を持ち不遇の人生を生きる人々。
たとえば、高学歴でありながら、思うような職に就けなかったもの。
たとえば、勉強は得意だが人付き合いが苦手で職場でいじめられ続けたもの。
たとえば、大学に残ったが、政治的手腕がないため役職につけず大学から放り出されたもの。
甘美な笛の音に誘われ次から次へとそのパレードに加わっていく。
そのパレードが向かう先は絶望という名の断崖……。
早く気がつかなければまっさかさま。
なのに、楽しげな笛の音に惑わされその救いのない結末に誰も気がつかない。
それでも、悪魔は不満だった。
なぜなら、そのパレードに参加している人々はみな一様に幸せそうだったからだ。
誰もが、「自分こそは相場で勝てる」と信じ込んでいた。
自分が成功した姿を想像してはニヤニヤとし崖下に落ちる最後の一歩を踏み出すその瞬間までとても楽しそうに歩いている。
悪魔は容赦しない。絶対に容赦しない。彼らが絶望という名の諦観を味わうまで。