20/11/14 12:35:29.75 cJMyO1980.net
もしかして自分ならできるかも
突然、彼の頭の中に声が響いた。
それはとても魅惑的な悪魔の声。
いやいや、待てよ。落ち着くんだ。
今までどんなベテランでもほとんどが退場していったんだぞ、そう簡単に儲かるわけがない。
慌てて甘美な誘惑の声を振り払おうとする。
だが得体の知れない熱い感情が胸の奥底から湧き上がってくるのを感じていた。
その感情に身を任せては取り返しのつかないことになる。
だが悪魔はさらにささやき続ける。
でも、もし儲けることができたとしたら
その言葉で彼の中の決定的な何かが崩壊した。
もう溢れ出る感情を抑える術はなかった。
そうだ……。相場で儲けて自由に生活していこう……。
その能力が自分にはある。自分なら稼げる。
そうだ、そうじゃないか……!
自分は、こんな惨めな人生を送るために生まれてきたはずはないんだ!
彼は自分の理性が崩壊した音を人生の歯車が噛み合った音だと錯覚した。
ああ、やっと……やっと出会えた!一生をかけるべき何かに!
一生を費やしても、人生のすべてを投げうってでも挑むべきことに!