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甲子園、2部制でも命が危ない」と医師警告のワケ
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この年、近田投手の前評判は高く、報徳学園は優勝候補の一角に挙げられていた。ところが青森山田高校に敗れ、1回戦で姿を消した。敗因は近田投手の不調だ。
近田投手は4回頃から足がつりはじめ、7回には両足のけいれんが止まらなくなり、立っていることもできなくなった。結果、青森山田高校打線に打ち込まれ、途中降板となった。最終的に5―0で敗れている。
敗戦から3日後、体調は十分に回復していなかったが、近田投手はトレーニングを再開した。午後のランニングを始めたところ、意識がもうろうとしはじめ、やがて意識を失った。
周囲の人の助けにより、救急車で最寄りの病院に搬送された。医師の診断は重度の熱中症で、そのまま集中治療室に入院となった。
この状態は医学的には「ヒートショック」と呼ばれ、致死率は10~50%程度とされている。筆者もこうした患者を何人か担当したことがあるが、全員亡くなった。
並外れた体力があった近田氏は、幸いにも一命を取りとめたが、ヒートショックによる筋肉をはじめとしたさまざまな臓器への障害は、その後の近田氏のキャリアに負の影響を与えたはずだ。