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川崎市 係長試験 行政判断 予想問題 (公職研作成)
4月に他局から異動してきたA職員は、担当業務の内容を十分に把握しておらず、ミスも目立った。
課長より「知らないことを逐一尋ねると、他の職員の邪魔になるので、業務上の疑問は他の職員の会話を聞き取って理解することで解決し、業務ミスをゼロにすること」という強い指示があったにも関わらず、A職員のミスはやや減少はしたもののゼロにはならなかった。
そこで、他のメンバーの面前での強い叱責、A職員を除く他のメンバー全員(担当係長、担当課長を含む)によるA職員の批判などの厳正な指導を実施したが、A職員のミスは改善しなかった。
数ヶ月後、A職員は抑うつ状態と発達障害の診断書を提出、障害者差別解消法に基づく合理的配慮を求めるに及んだ。
この本市(川崎市)障害者虐待差別禁止条例が禁ずる障害者としての権利の濫用に及んだA職員を職場から排除するための制裁として、どのような手段が最も効果的か。
①障害者としての権利の濫用を非違行為とした懲戒免職処分の手続を行う。
②抑うつ状態では職務の遂行が不可能である上、発達障害により職務遂行能力の向上が困難であることから、分限免職処分の手続を行う。
③引き続きかつより厳正な指導を継続し、かつ懲罰的な人事評価を行うことで本人の将来を戒める。
④厳正な指導の強度を著しく引き上げ、抑うつ症状の悪化による休職に追い込み、相当年数経過後は分限免職処分とする。
⑤障害者虐待差別禁止条例違反を理由とした懲戒免職とする。
正解:③
障害者虐待差別禁止条例は罰則を伴わないため、間接的な手段で本人に対する制裁を行うことが推奨される。
①②は当該理由での免職事例が無く、免職されない可能性があるため最適な選択肢ではない。⑤も懲戒免職事由とはなり得ないため同様。
④は休職時に公務災害申請をされるリスクがあるため最適な選択肢ではない。
よって③が正解。
なお、この事例は障害者福祉担当部局の総括担当部課での実例である。
当時は障害者虐待差別禁止条例の成立前であったため、⑤の選択肢は取り得なかったが、
当該条例は、障害を持つ職員が障害者としての権利を濫用した場合の制裁手段としては有効であるものの
当該職員を必ずしも職場から排除できるものではないため、回答は同じである。