19/03/05 17:28:09.06 IUFo5RLh0.net
何度か呼ばれて、青子はやっと龍生の存在に気付く。
「ごめん」「めっちゃボーッとしてた…」
皿を載せた板を手に、型が完成したこととサンプルの素焼きを作って持ってきたと言う龍生。
作業台に置かれた皿を見たとたん、スイッチが入った青子。
水の柄が皿に滴り落ちていくイメージに満たされ、皿に魅入られる。
「きれい…」「ほんとだ 角が取れて優しい形になってる」
「水の柄が似合ういい形だよ」
形は力を尽くした、次は青子さんの番です、よろしくお願いしますと告げる龍生に、微笑む青子。
が、そこで最近のごたごたが原因ではんこ屋さんに原稿を出し忘れていたことに気付く。
慌てる青子に、原稿ができてるなら自分が出しておく、と青子の手から原稿を取り上げて、
はんこができるまで時間がかかるから、その間に青子さんは手の怪我を治してくださいと。
更に龍生は、仕事でも無理をせず手をいたわってほしい、この皿の最初の一枚を作る貴重な手だと、念を押す。
当惑する青子に、龍生は皿を置いた作業台の前にしゃがみこみ、内緒話のように続ける。
「実は」「この皿に柄が入るのが……俺」「楽しみなんで」
「ケガ 早く治さないと許しませんから」
「うん わかった」
応えながら、青子は手の痛みや絶望感が消えていることに気付く。
皿を前に色々話し合う2人。
次号につづく