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モデルナ社製ワクチン接種後の「モデルナアーム」について分かっていること
倉原優 | 呼吸器内科医
7/15(木) 17:17
(写真:アフロ)
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「モデルナアーム」とは
頻度は低いですが、モデルナ社製の新型コロナワクチン接種後5~11日目に「モデルナアーム」あるいは「COVIDアーム」と呼ばれる皮膚の赤みが出ることがあります(写真)(1,2)。夏場ということもあって、虫刺されと勘違いして受診する人が多いようです。
結論から書くと、この副反応を怖がる必要はありません。軽症で終わることが多いためです。
モデルナアーム(文献1より引用)
モデルナアーム(文献1より引用)
海外では「モデルナアーム」の頻度は0.8%とされていますが、局所反応については接種後7日目までしか登録していなかったため、過少に報告された可能性があります(3)。日本では、第63回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に提出された資料(4)によると、接種後2~4%に遅発性の皮疹・かゆみが出現したと報告されています。ちなみにこの副反応、なぜかファイザー社製の新型コロナワクチンでは起こりにくいとされています(表)。
mRNAワクチンの副反応(資料4より引用)
mRNAワクチンの副反応(資料4より引用)
ちなみに、ワクチンを接種した日やその翌日に起こる接種部位の痛みや発赤は、この「アーム」ではありません。あくまで1週間くらい経過して出現する、ぼってりした赤みのことを指します。
このとき皮膚に何が起こっているかというと、「遅発性の過敏反応」という見解が主流です。「モデルナアーム」の皮膚を生検して、顕微鏡で観察した報告がいくつかあります(1,5)。これによると、小さな血管の周りにリンパ球と好酸球という炎症細胞がみられ、軽度の過敏反応でみられる所見と合致していました。
原因はワクチン添加物、脂質ナノ粒子などいくつか考えられますが、はっきりと分かっていません。ファイザー社製ワクチンとは異なる頻度であるため、ポリエチレングリコールは否定的です。
いずれにしても、急性に起こるアナフィラキシー反応とはまったく異なり、遅発性のおだやかな反応です。そのため、重篤な有害事象には当てはまりません。
若年女性に多い
サンフランシスコの医療従事者1,950人(男性675人、女性1,275人)にモデルナ社製ワクチンを接種したところ、13人の女性職員に「モデルナアーム」が出現したという報告があります(6)。男性では、誰一人としてこれが出現しなかったそうです。
さらに、年齢別に比較すると、31~45歳の「モデルナアーム」の発生率が高いことが分かりました。
なお、この研究においてファイザー社製ワクチンを接種した3,612人のうち「アーム」が出現した人はゼロでした。
2回目接種で再度出現するのか?
1回目で「モデルナアーム」が出現した接種者の半数程度に、2回目も同様の反応がみられるというのが当初の見解でしたが(1)、その後再発が多かったという報告(5)や、ほとんど再発しなかったとする報告(7)など、データはまだ一致していません。
ただ、もし2回目に出現したとしても、1回目より数日早めに出てくることが多いものの、1回目より重症になることはないようです。
「モデルナアーム」への対応
遅発型のおだやかな反応なので、即時型のアナフィラキシー反応のような危険性はありません。やや広範囲に赤みが広がりますが、平均6日ほどで次第に軽快していきます(1)。
症状が強ければ、皮膚科を受診しましょう。虫刺されと思って受診する人が多いですが、医師には「モデルナ社製ワクチンを接種した」ということを伝える必要があります。発赤やかゆみが強い場合、ステロイド軟膏を用いることもあります。接種部位を冷やして対応することも有効です。お風呂で揉むなどの行為は控えてください。
もし「モデルナアーム」が出現しても、2回目のワクチン接種は可能です。同じ側の腕に接種すべきか、反対側の腕に接種すべきかについて、まだ結論が出ていません。ただ、あまり過度にこの副反応を懸念する必要はなく、生活上の利便性を考えて接種する側を選んでください。
■参考記事:新型コロナワクチン、どちらの腕に接種すべきか? 接種医の経験から(URL:URLリンク(news.yahoo.co.jp))