16/11/24 14:02:36.17 4T7wYzUj0
>>52
親ゴーヤは自分の子供を見てこう言った。
「子ゴーヤちゃん、赤ごっぱちゃん。ママはこれからおいちいごちそうを集めてくるからいい子にしてるんでちよ。ここから出るなんてダメでちからね」
「はいでち!ごーやいい子にしてるでち!」
「ちゃあぶうちゃぶう!」
これを見て親ゴーヤは満足げに食料集めに向かった。
ゴミ捨て場にたどり着き、周囲を見回して誰もいないのを確認すると、素早く手近のゴミ袋をつかんで持っていく。
中身を確認して選り好みしている余裕はない。そんなことをしていれば後からやってきた他の野良ゴーヤと、
ゴミの奪い合いになるか、憲兵に見つかってその場で射殺されるかのどちらかである。 街には脱走した野良ゴーヤが何匹も住んでおり、その駆除に軍部は頭を悩ませている。
「デチィ―!今日は御馳走でち!」
母ゴーヤの顔が綻ぶ。
コンビニのフライドチキンの骨が二本入っていたのだ。しかも所々肉や衣のついた皮が残っている。
他にもホットドッグの串の持ち手の上部にわずかに残った衣、おにぎりの袋に残った海苔、これは大収穫。
これなら昨日入手したパンの耳は明日にまわせる。
そう思いながら母ゴーヤは段ボールハウスへ向かう足取りを早くした。