16/10/18 23:28:56.50 4MMZ+pyFt
その時だった。地下施設の正面口から悲鳴と怒号が聞こえた。
びっくりして私たちが声のする方向を見ると、大勢の特殊部隊と思われる襟称を付けた憲兵隊員たちが地下施設内部に突入してきた。
「それでは施設の制圧作戦を行う。少なくとも一人は無傷の元帥派幹部を確保しろ、後は好きにして構わん。
そうだ、無駄な税金で人権侵害と大量虐殺をしていたカルト教祖の信者どもは殺すか逮捕しろ。それでは作戦を開始する」
「うわっ…!俺たちになにをする!!やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
憲兵隊員たちは各地に散会し、私の同僚たちを次々と射殺していった。
慌てて別の部屋に逃げ込もうとして背中を撃たれるもの。跪いて助けを求めるもそのまま頭を撃たれるもの。
私は仲間を救うべく、管理室に逃げ込んで扉を閉めて立てこもったが、隊員たちの行動は驚くものだった。
部屋の扉の前に火薬やダイナマイトを置くと、火を放って爆破したのである。
「ぎゃあああああああ!あづいよおお。助けてえ、誰か助けてくれえええ!」
哀れな私の同僚たちは部屋と一緒に燃やされ、悲鳴を上げながら絶命していった…。
私は先ほどの火事では死にきれず、隊員たちの手によって焼け出された。
見ればまだ生き残っていた私の同僚たちが一列に立たされ、次々とヘッドショットされて銃殺されるか拘束され連行されているところだった。
「ふざけるな…くそ、どういうことだ?ここは元帥派が経営する施設だ。愛護派は壊滅したって聞いたぞ。こんなことしていいと思ってるのか?」
私は精一杯憲兵隊隊長に食って掛かったが、こう返してきた。
「残念だが情勢が変わってね、お前らの最大のスポンサーだった元帥、いや今は二等兵と、海軍長官とか自称していた狂人、
自称元帥派の工作員どもは上層部から一掃され、憲兵大佐派は完全復活した。こんなところで無駄な税金をつぎ込んでるお前らのほうがこっちから言わせればよっぽどふざけているぞ」
「そん……な……」
そう言うと隊長は私を連行するよう部下に指示した。私は必死に抵抗したが、銃座でたたかれ強制的に立たされた。
手首に手錠をはめられ、地上の新ゴーヤパークの外に止められた憲兵隊の車に押し込まれる。あまりのことに曖昧になっていく意識の中、心の中には偉大なる元帥閣下を救えなかった自責の念のみが去来していた。
憲兵大佐派メンバーが去っていくのと入れ替わりに作業員が来て掃除と施設の改修を始める。
ここが真のゴーヤのための施設として再出発し、ゴーヤたちの笑い声で満たされる日もそう遠くないだろう。
終わり