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減便した路線バスを補うコミュニティーバス、無料にしても乗客の姿なし 高齢化率50%を超える町の現実
地域住民の移動を支える公共交通機関が細ってきている。人口減や過疎化に加えて、新型コロナウイルス下での行動制限に伴う利用減も追い打ちをかけた。鹿児島県内も例外ではない。自由に動ける態勢づくりへどうすればいいか。地域公共交通の在り方を考える。(連載かごしま地域交通 第1部「ゆらぐ足元」④より)
本土最南端の南大隅町は旧根占町と旧佐多町が合併してできた。鹿児島交通の路線バスは町北部に位置する根占地域の中心部から、佐多地域の中心部を経由してさらに南側にある大泊地区まで、町の南北を結んでいた。2023年10月、運行を佐多中心部・佐多石蔵までの朝夕各1便に減らした。大泊まで行く便はなくなった。
減便に呼応し、町は根占-佐多石蔵のコミュニティーバス(コミュバス)を始めた。根占中心部にある温泉施設「ネッピー館」と佐多石蔵や大泊を結ぶ町の温泉送迎バスは、途中乗降できるようにした。路線バスと重なる送迎バスのルートを生かし減便を補った格好だ。今年4月からは、この二つを統合し起終点をネッピー館近くの役場本庁にするなどさらに見直した。
大泊は路線廃止まで佐多岬の最寄りバス停だったため、観光客への影響を懸念する声もあった。町は「根占港発着の観光周遊バスや、フェリー利用者のタクシー料金助成が既にある」として、生活路線の役割に対策を絞った。
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7月中旬に乗った南大隅町のコミュバスには運賃箱がなかった。本来は町民向けの無償運行だった。無料なのに加え、ルート上はどこでも乗り降りできるが、大泊-佐多石蔵は往復とも乗客はいなかった。佐多石蔵から乗り継いだ根占の役場本庁行きは途中乗車の1人、帰りの便も2人がネッピー館で乗り降りした。
町内のバス利用は以前から少なかった。町が昨年4、5月の計3回、近隣市町と実施した路線バス乗降調査では、町内区間のうち、根占から複数バス停がある佐多中心部の佐多伊座敷までは11便平均1.2人、逆の8便は3.7人。佐多発大泊の11便はゼロ、逆の5便は0.2人だった。
町は24年度、交通体系の将来像を描く地域公共交通計画策定へ向け準備に入った。本年度は住民アンケートや交通事業者調査を予定する。企画観光課の愛甲真一課長は「町内でも地域によってニーズが違うと思われる。住民の声を聞き、使ってもらえる交通手段を探りたい」と説明する。
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町は佐多、根占両地域で各方面にコミュバスを走らせるほか、診療所の送迎バスや通学用スクールバスを運行する。佐多地域ではスクールバスに一般利用者が乗れる「混乗」も可能だ。
運転免許を持たない大泊地区の70代女性は以前、鹿屋市への通院などに路線バスを使っていた。現在コミュバスや混乗を利用することはほとんどない。「最近はタクシーを呼ぶか、知り合いに車を出してもらうよう頼む」。佐多石蔵で乗り継ぎが必要な上、運行日が限られるのがネックという。足の不調もあり「お金がかかるけど、今は歩く距離が少ない方がいい」とこぼす。
町の高齢化率は51.3%(9月1日現在)と65歳以上が過半数を占める。大泊自治会の大久保光幸会長(69)は「高齢化がさらに進むことを考えると、自宅から目的地まで直接行けるような手段の充実が望まれているのではないか」と話した。
南日本新聞 2024/10/14 17:00
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