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全共闘歌人のレッテルつらかった 道浦母都子さんが7年ぶりに新歌集:朝日新聞
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聞き手・佐々波幸子 2024年7月7日 15時00分
7年ぶりに歌集を出した道浦母都子さん=門間新弥撮影
歌人の道浦母都子(もとこ)さん(76)が7年ぶりの歌集「あふれよ」(角川書店)を出版した。同時に刊行したエッセー集「歌人探訪 挽歌(ばんか)の華」(同)とあわせて読むと、平坦(へいたん)ではない半生が浮かび上がる。全共闘運動に身を投じた体験を詠んだ第1歌集「無援の抒情(じょじょう)」から44年。これまでの歩みについて聞いた。
明日あると信じて来たる屋上に
―10冊目となる新刊歌集に収められた〈一冊の日記のような歌集にて振り回されたるわれの一生〉という歌が目にとまりました
「無援の抒情」は自分の気持ちを清算するために作った歌集でした。全共闘運動後、10年経っても心がほどけない。当時に立ち返って、日記のように歌を詠みました。
師事していた「未来短歌会」の近藤芳美先生に歌集を出すよう勧められ、歌に書いたことをまとめたら心の整理がつくかと思ったんです。1980年、雁(がん)書館という小さな出版社から500部。もちろん自費出版です。
―〈明日あると信じて来たる屋上に旗となるまで立ちつくすべし〉〈催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり〉といった体験に基づく歌が共感を集めました。増刷で10万部を超えたそうですね
全共闘世代の親御さんも手に取り、刑務所で回し読みされたとも聞きました。この歌集で現代歌人協会賞という大きな賞をいただき、あまりにも全共闘歌人、全共闘歌人と言われるようになり、「困ったな、どうしよう」と思いましたね。
―40人の歌人を取り上げたエッセー集「歌人探訪 挽歌の華」には、長崎に生まれ、被爆体験を詠んだ竹山広さんを「『原爆歌人』とは呼びたくない」と書いています
レッテルを貼られて生きるのは、つらいんですよ。例えば私がイヤリングをしていると、「道浦さん、イヤリングつけるんですか」と言われたり。英国のサッチャー元首相や衆院議長を務めた土井たか子さんのようなしっかりした女性をイメージして想像と違うと驚かれたり。
―どんなきっかけで全共闘運動に参加したのですか
67年10月、ベトナム反戦を訴えるデモと機動隊が衝突した「羽田事件」で、(略)
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