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東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する。
午前3時 霞が関 紛糾する会見 1号機爆発まで12時間36分
午前3時すぎ。霞が関の経済産業省で、東京電力が緊急の記者会見を始めた。会見に臨んだのは本店対策本部の代表代行の小森だった。経産大臣の海江田と保安院院長の寺坂も陪席した。
小森は、開口一番、ベントを実施すると述べ、「午前3時くらいを目安に速やかに手順を踏めるように現場には指示しています」と語った。
すかさず、記者から疑問の声があがった。
「3時って、もう3時ですよ」
すでに午前3時を10分回っていた。
小森は「目安としては早くて3時くらいからできるように準備をしておりますので、少し戻って段取りを確認してから……」と返すのがやっとだった。
当初、東京電力は、午前3時を目標にベントをすると考えていたが、準備をしているうちに、あっという間に午前3時になっていたのだ。
小森はベントについて説明を続けた。
「まずは2号機について圧力の降下をするというふうに考えております。2号機は、夕方くらいから、原子炉に給水するポンプの作動状況がかなり見えない状況になっています」
にわかに会見場がざわついた。
記者の誰もが、1号機の格納容器の圧力が異常上昇したので、当然、1号機からベントすると思っていたからだ。混乱する記者から矢継ぎ早に質問が飛んだ。
「まず、1号機ではないのですか?」
「今、1号機の話をしているんじゃないの?」
小森が答える。
「圧力が上がっているのは、1号機でございますが、1号機も2倍にいっているわけでなくて……。注水機能がブラインドに(見えなく)なっている時間が長い2号機のほうが本当かと疑っていくべきだと」
1号機の格納容器の圧力は8.4気圧。設計時に想定した最高圧力の5.28気圧の2倍までには達していないため、まだ猶予がある。むしろ全電源喪失以降、注水が確認できていない2号機のほうに不安要素があるという説明だった。
しかし、8.4気圧は通常、格納容器にかかる圧力のおよそ8倍にあたる異常な値である。納得できない記者から、質問が投げかけられる。
「1号機は、もうレット・イット・ゴー(対応必要)の状態なんですよね。2号機はなぜですか? 突然、出たのでびっくりです」
小森はあくまで2号機の危機を強調する。
「本当に給水できているかどうかというのが、一番最初に怪しくなったプラントが2号機です」
「我々が技術的に理解しているものから見て、なかなか説明がつかないというのが2号機であります」
つづきます、記事ソースもつづきにあります