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毎日新聞 2021/12/6 14:33（最終更新 12/6 14:33） 910文字
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「冬月」とみられる駆逐艦。明るい光は艦首の主砲を発射した時の発砲炎＝豊の国宇佐市塾提供
太平洋戦争の資料分析などをする大分県宇佐市の市民団体「豊の国宇佐市塾」は4日、米軍機のガンカメラなどで撮影した映像10種13本（計26分56秒）を新たに公開した。このうち、特攻作戦で沖縄へ向かう駆逐艦を米戦闘機が鹿児島県坊ノ岬沖で攻撃する映像は動画では初確認とみられる。県内分では、佐伯市の水ノ子島灯台の初空襲の映像があった。
公開した映像は、同塾が2013～21年に米国立公文書館で入手した映像のうち、日時や場所、状況が分かったものだ。
駆逐艦への攻撃映像は、1945年4月7日午後0時40分ごろ、米空母「ベニントン」所属のF6F―5艦上戦闘機が撮影した30秒のもの。駆逐艦は戦艦「大和」などとともに計10隻で前日、山口県徳山沖から出撃していた。雲の高さ1000メートルなど視界の悪い中での攻撃で、画像は暗い。
艦首側2カ所で弾が発射され、主砲の配置が分かる。更に機銃掃射を受けて一斉に発砲できなかったという日本側の記録から、映った駆逐艦を「冬月」とみている。
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機銃掃射を受ける水ノ子島灯台。別の機が発射した曳光弾も映っているという＝豊の国宇佐市塾提供
また、飛行隊が戦闘報告書に添付した駆逐艦の写真と同様のシーンも発見。その時点で航行不能だった艦は1隻だったことから、「浜風」と特定した。直後に「浜風」は魚雷攻撃で轟（ごう）沈。この戦闘で他に「大和」など5隻も沈没した。「冬月」の損傷は軽微だったという。
水ノ子島灯台への空襲は45年3月19日午後4時過ぎ撮影の20秒。米空母「ヨークタウン」所属のF6F―5艦上戦闘機が、大分市の大分飛行場、臼杵市の造船所を攻撃後に、同灯台を機銃掃射した。戦闘機の出撃は、日本海軍の攻撃を受けた艦隊の離脱を支援するためだったという。
他の映像は44年11月27日の日本軍によるサイパン島への空襲や、45年8月9日の米軍機の田野駅（宮崎市）への空襲、同年10月31日、海軍松山飛行場（松山市）で米軍が日本軍機を焼却処分する様子など。
同塾は、これらの映像を来年予定している「平和ウオーク」で上映する予定。戦争体験者から話を聞く機会が少なくなる中で、塾生の織田祐輔さん（35）は「映像を見て当時や戦争がどんなものだったか考え、平和をかみしめてほしい」と話している。【宮本勝行】