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毎日新聞 2021/12/6 09:17（最終更新 12/6 09:17） 617文字
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難民キャンプを訪問し、難民らと交流するフランシスコ・ローマ教皇＝ギリシャ東部レスボス島で2021年12月5日、AP
フランシスコ・ローマ教皇は5日、中東やアフリカからの難民が集まるギリシャ東部レスボス島を訪問した。欧州で難民らを巡る政治的な対立が相次ぐ現状を非難し、「貧しい人々に政治の代償を負わせたり、プロパガンダに利用したりすべきではない。根本的な問題に向き合わなければならない」と訴えた。
教皇のレスボス島訪問は2016年に次いで2回目。16年には12人のシリア難民をイタリアに連れ帰った。AFP通信などによると、教皇は20年9月に火災で焼失した欧州最大のモリア難民キャンプに代わって作られ、現在は約2300人が暮らすキャンプを訪問。「状況がほとんど変わっていない」と嘆く一方、子供たちと交流し、祈りをささげた。
欧州ではベラルーシ西部のポーランド国境に中東からの難民が殺到し、受け入れを巡ってベラルーシと欧州連合（EU）が対立。難民は物流倉庫に収容されている。また、英仏海峡では11月に難民らを乗せて英国に向かっていたボートが転覆し27人が死亡した。事件をきっかけに、英仏首脳は難民らの保護を巡り互いに非難の応酬となっている。
教皇はレスボス島の訪問に先立ち4日、ギリシャの首都アテネでも「欧州は連帯の原動力になっておらず、利己的なナショナリズムに引き裂かれている。民主主義の後退は、欧州のみならず世界で起きている」と警告。難民・移民の締め出しなどを掲げたポピュリズム（大衆迎合主義）に解決を求めることは「安易だ」と戒めた。【パリ久野華代】