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毎日新聞 2021/12/3 21:06（最終更新 12/3 21:09） 804文字
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有害物質を含む汚水が流出した米陸軍貯油施設
沖縄県うるま市にある米陸軍貯油施設で6月、発がん性が指摘されている有機フッ素化合物を含む汚水が貯水槽から基地外に流れ出した事故があり、事故後に国と県、米軍が貯水槽に残った水を調査した結果、国の暫定目標値の約1600倍に当たる濃度の有機フッ素化合物が検出されていたことが県関係者への取材で分かった。県によると、分析結果は国と米軍が公表に合意したうえで、県も含めた3者が同時に公表することが調査時の条件だが、調査から5カ月たった現在も公表されていない。
沖縄県の玉城（たまき）デニー知事は「米軍側の合意が得られていないことから、県の分析結果を公表することができない」とのコメントを発表。一方、松野博一官房長官は記者会見で「公表に向けた段取りを進めている。米側の意向で公表を控えているという事実はない」と述べた。
事故は6月10日に発生。うるま市昆布（こんぶ）にある米陸軍貯油施設内の貯水槽の水が大雨であふれ、排水路から基地の外に流れた。貯水槽のふたの劣化が原因とされる。貯水槽の水には配管から逆流した泡消火剤の溶液が混ざり、泡消火剤には発がん性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」「PFOA」が含まれていた。
国と県は日米地位協定の「環境補足協定」に基づき、6月28日に基地内に立ち入り、米軍とともに貯水槽の水を採取。3者がそれぞれ分析を行った結果、「PFOS」と「PFOA」が合計で1リットル当たり約8万ナノグラム含まれていた。国の暫定目標値（1リットル当たり50ナノグラム）の約1600倍に当たる。県の分析結果は7月末に判明し、国や米軍の分析結果も出ているが、いずれも公表されていない。
周辺5カ所の排水や河川水に含まれる有機フッ素化合物は、事故2日後の県の調査でいずれも暫定目標値を下回っていたが、事故直後には高濃度の有害物質を含む水が基地外に流れた可能性が高い。【遠藤孝康、竹内望、遠藤修平】