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毎日新聞 2021/10/18 17:16（最終更新 10/18 17:16） 985文字
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愛知県警本部
岡山県の農作物生産会社「西山ファーム」（破産手続き中）による投資詐欺事件で、詐欺容疑で愛知県警に逮捕された同社元役員、伊藤弘敏容疑者（37）らが一部の出資者に対し、同社の投資事業について他言することを禁じる念書を強制的に書かせていたことが関係者への取材で判明した。県警は同社が不正を認識し、トラブルが生じた際に発覚を防ぐ意図があったとみて調べている。
同社はクレジットカードで果物などの商品を購入すれば海外への商品転売などで元本保証や配当を約束するなどとうたって出資を呼びかけ、全国約930人から約133億円を集めていたとされる。愛知県警はうその投資話で現金をだまし取ったとして伊藤容疑者ら5人を詐欺容疑で逮捕。海外にいるとされる同社社長の山崎裕輔容疑者（40）の逮捕状を取り、行方を追っている。
関係者によると、同社は資金繰りが悪化し、破綻寸前だった2019年1月ごろから一部の出資者に対し、「取引は投資の類ではなく、リスクのある商取引であるとお互いに確認する」「今後、甲（出資者）は乙（同社）に関わる取引の内容の一切を、関係者に他言したり、インターネット等に書き込んだりすることを禁止する」などとする念書を書かせていたという。
投資事業で約800万円の被害を受けたという名古屋市の男性（33）は19年1月、同社から市内に呼び出され、山崎容疑者ら男性数人から念書にサインするよう迫られた。断ると、「サインしないなら、これまで購入した代金は一切支払わない。借金することになるぞ」などと言われたという。男性は「複数人に囲まれて脅されたのでサインするしかなかった」と振り返る。
また、関係者によると、同社が18年冬ごろ、投資事業を巡ってクレジットカード決済が増えたことについて、クレジットカード会社が出資者に問い合わせしていることを察知し、出資者に“口止め”を指示していたことも判明。毎日新聞が入手した同社と出資者との無料通信アプリ「LINE（ライン）」のやりとりで、同社は「西山ファームの名前を出されても知らないと答えていただきたいです」「【転売】や【投資】、【利益】などの言葉、【西山ファーム】の名前を出すのはくれぐれも控えていただく」や、カード会社から書類提出を求められた場合について「通帳のコピー・口座取引明細等の提出はご遠慮ください」と指示していた。【森田采花】