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毎日新聞 2021/6/23 20:33（最終更新 6/23 20:33） 610文字
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福岡県警西警察署＝福岡市西区で、田鍋公也撮影
自身の死亡後の葬儀や財産の相談をしてきた知人男性の遺書を下書きするなどしたとして、福岡県警西署は23日、福岡市西区姪の浜の牧師、林弘容疑者（69）を自殺ほう助容疑で逮捕した。林容疑者は「安心させてあげただけで犯罪とは思っていなかった」と否認しているという。
逮捕容疑は3月上旬、同区に住む男性（当時74歳）に、全財産を林容疑者に相続させるとした遺書の下書きを渡したり、葬儀代の準備金として数十万円を受け取ったりして自殺を手助けしたとしている。男性は同月17日、自宅で自ら命を絶った。
西署によると、男性は2月末に妻を亡くしたことを苦に死にたいと考え、複数の宗教団体に葬儀の手配などを相談。いずれも断られる中で、林容疑者が相談に応じ、家や車なども譲るよう約束させていたという。同署は、死後の不安を取り除く行為が自殺ほう助容疑にあたると判断した。
林容疑者は、男性から死亡する前日に「3回電話しても出なかったら通報してほしい」と伝えられ、その通りに110番した。しかし、署員が林容疑者の説明を不審に思い、他の宗教団体からも交番に相談があったため事件が発覚した。
林容疑者は、キリスト教系の宗教団体に所属する教会の牧師を名乗って活動しており、文化庁がまとめた宗教年鑑（2020年版）によると、団体の事務所は東京にあり、関連教会は全国に約100ある。東京事務所は取材に対し「事実関係を確認している」とコメントした。【佐藤緑平】