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毎日新聞 2021/6/20 17:00(最終更新 6/20 17:00) 有料記事 5574文字
新型コロナウイルス感染者の治療に当たる医療体制は、厳しい状態が続く。日本は世界でも人口当たりの病床数が多く(注1)、国民皆保険制度など充実した医療制度を誇ってきた。なぜ病床が逼迫(ひっぱく)に追い込まれ、必要な医療が受けられない事態になったのか。どうすれば改善できるのか。東京オリンピック・パラリンピックを前にした現状の対策は、何がおかしいのか。内科医で医療法制の専門家でもある米村滋人・東京大教授(46)に聞いた。【聞き手・永山悦子】
民間中心の日本の医療
―欧米に比べれば桁違いに少ない患者数にもかかわらず、医療体制が限界状態に追い込まれているのはなぜですか。
◆日本は、今回のような大規模感染症が起きる想定をしておらず、対応に適した体制になっていませんでした。さらに、その状況を改善してこなかったため、現在の事態になっていると思います。
―「大規模感染症に適していない」とは、どのような医療体制なのですか。
◆多く指摘されていますが、民間病院が中心であることが影響しています。医療はもともと経営が成り立ちにくいという特徴があります。多くの国では民間の参入は少なく、行政が社会インフラとして医療体制を整備しています。公立病院や公的病院は、行政からの指揮命令が届きやすく、感染症が広がれば臨機応変に対応できます。
一方、日本は明治時代以降、「自由開業制」によって民間病院の開設が広がりました。ただし、日本の医療制度は医療機関の自主的な判断を尊重していますから、民間病院は経営的な視点から、行政に協力するかどうかを判断できます。メリットがなければ協力しないという判断もあり得ます。実際、国内では経営判断からコロナ患者を受け入れていないという民間病院も少なくありません。
―コロナの感染が広がってから1年余り、民間の協力を得るために政府や自治体も努力してきたのではないですか。
◆自治体は頑張っています。医療機関の協力を得るために粘り強く依頼を続け、病床は増えつつあります。その一例が、回復した患者を受け入れる「後方支援病院」への協力呼びかけです。しかし、…
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