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[ 2021年6月20日 05:30 ]
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菅首相と会談後、取材に応じる東京都の小池百合子知事
Photo By 共同
東京都の小池百合子知事は19日、菅義偉首相を公邸に訪ねて会談。その後、都庁で記者団に、東京五輪・パラリンピック期間に設置予定だった「ライブサイト」とパブリックビューイング（PV）会場計6カ所での競技中継を全て中止すると表明した。一部を新型コロナウイルスのワクチン接種会場に転用。首相に内容を伝えて理解を得たとしている。
犬猿の仲である両者の会談は5月21日以来で約1時間にも上った。21日に政府、東京都、大会組織委員会などによる5者協議で最大の関心事である観客数上限が正式決定されるのを前に何か仕掛けたか―。色めき立つ記者を前に小池氏の口から出たのは感染拡大要因と指摘されるPVなどの中止表明だった。
小池氏は5者協議に関する首相との会談内容について「より広い観点で都が何年もかけて準備してきたことなどを伝え、改めて全体像として見たらどうなるのか意見交換した」などと述べた。
依然として無観客開催を求める声が強い状況で、有観客にこだわる首相は17日の会見で、まん延防止等重点措置など解除後のイベント参加人数を最大1万人とする政府方針に触れ「五輪の人数上限はこうしたルールを基本として決定」と宣言。政府の感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志が18日に公表した「無観客が望ましい」とする提言を事前に骨抜きにした。
一方、小池氏は、特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が「無観客」を明記した都議選（25日告示、7月4日投開票）公約を発表しても自らの考えは示さず、18日の会見でも「ルールとしてイベント上限に沿って決めていく」と述べるにとどめていた。
観客上限問題は首相がリードし、小池氏が得点を稼ぐ場面をつくり出すのは難しい状況。一方、これまでPVなどについて「組織委ガイドラインを踏まえ準備、調整」と話す程度だった小池氏。首相との会談で世間の関心を引きつけておいて自らの口で中止を表明、有観客に前のめりな首相とは対照的に、感染拡大防止のために人出の抑制を図る知事という見せ方を演出したとも言える。
また、11日の「全会場中止検討」との一部報道に対し抗議文まで出していたが、自らの発信でインパクトを与える舞台設定を壊されたくなかった面もありそうだ。