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毎日新聞 2021/5/18 11:00（最終更新 5/18 11:00） 707文字
乳幼児に多い呼吸器疾患「ＲＳウイルス感染症」の患者が、奈良県内でも急増している。乳幼児や高齢者に感染すると重症化しやすく、県保健研究センターなどが注意を呼びかけている。例年は９月ごろに増えることが多いが、「季節外れ」のこの時期の急増に、同センターも要因は「よく分からない」としている。
ＲＳウイルス感染症の感染経路は主に飛沫（ひまつ）感染と接触感染で、新型コロナウイルスとほぼ同じだ。感染すると発熱やせき、鼻水などの症状が出て、重症化すると気管支炎や肺炎になる危険性もあるとされる。有効なワクチンや抗ウイルス薬はなく、感染した場合は症状を和らげる対症療法が主になるという。
同センターのまとめによると、県内３４の小児科定点医療機関が報告した患者数は４月に入って急に増え、２０２１年の第１７週（４月２６日～５月２日）に１１２人、１医療機関あたりの患者数が３．２９人に上り、「流行」の段階になった。１４年以降の記録を見ると、同じ週の１医療機関あたりの患者数は０～０．７６人で、今年は突出して多い。
直近の第１８週も２．０３人と「やや流行」の水準で、同様に１４年以降の０～０．２４人と比べてもかなり多い人数だ。２０年は新型コロナの感染拡大で乳幼児の集団生活の機会が減ったためか、ＲＳウイルス感染症の報告も激減した。今回の急増に、同センターは「新型コロナの対応に追われ、分析などは行えていない」とし、「手洗いやうがいなどの予防に加え、なるべく人混みに行かないで」と注意を呼びかける。
新型コロナの患者が多い地域では、発症者がＲＳウイルスと新型コロナのどちらに感染しているのか判別が難しいケースも危惧されている。【久保聡】