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完全雇用の財政学― ウィリアム・ヴィックリーの完全雇用の経済学の検討 ―
岡本英男
URLリンク(repository.tku.ac.jp)
《以上見てきたヴィックリーの完全雇用の経済学を要約すれば,次のようになる。
インフレと政府の財政赤字を有害なものと考えることはやめなければならない。むしろ,財政赤字は政府が可処分所得に
貢献した指標と見なしうる。国債は退職時に備えるためにますます大きくなる個人の貯蓄が安心して投資できる対象である。
生産性の上昇にとって妨害となるのは,インフレの水準ではなく,インフレの不確実性である。たとえ,インフレが高まる
ようなことがあっても,自由市場システムの本質的条件を維持しながら,インフレをコントロールする方法は存在する。
かくして,より大規模な国債の供給,そしてインフレ率のある程度の増加は必要であり,人間の福祉という観点から見てはるか
に大きな災厄である失業を緩和する適切な手段である。
…
われわれは,ランドール・レイとマシュー・フォーステイアーにならい,これを現実の財政制度のなかで達成するカギと
なるのは,公的雇用の保障と貯蓄をリサイクルする政府予算とを結びつけることである,と考える。フォーステイアーは
そのことを「貯蓄のリサイクリングによる公的雇用(saving-recycling public employment)」と呼んでいる。しかし,
それは他のところではミッチェルによって「緩衝ストック雇用(buffer-stock employment)」と呼ばれ,モスラー,
レイ,その他の人によって「最後の雇用者としての政府(ELR)」と名付けられてきた)。 》