24/09/26 07:06:37.90 .net
だが、おれは、色恋のほうには向いておらんし、鏡を見てうっとりというわけにもいかん。
おれは、出来そこないだ、なよなよした美人の前を気取って押し歩く柄でもない。
おれは、いんちきな造物主からこんな不様なからだにうみつけられて、いびつ、未完成、半出来のまま、早々とこの人間世界にひり出されてしまった。
なにしろキモハゲで不格好だから、よたよた歩いていると犬もほえかかる。
とすると、だ。
のどかな笛の音のようなこの太平の御時世に、時をつぶす何の楽しみがある?
太陽が映しだす自分の影を横眼にみながらわが醜さを戯れ歌にでもしてみるほかには。
とすれば、だ。
この巧言令色の御時世を泳いで回る好き者にはおれはなれんのだからして、おれは決めた。
悪党になる。
当世風の下らん快楽を憎んでやる。・・・