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「…本気なら止めますまい…南無」
本来ならば、僧正がむざむざ生き物を見殺しにするなどあり得ない。
しかしカイドウに対して言葉は意味を成さない。そうやって心に言い聞かせることで自身を納得させていた。
実はその時、僧正は尿意が気になっていた。
早く用を足したい。厠へ行きたい。
煩悩が思考を鈍らせ始める。
正直な話、見ず知らずのおっさんが雲上から転落しようが、そんなことどうだって良い。
尿意と他人の死。秤にかければ、尿意を優先するべきは人のサガ。
建前上の祈りを済ませたあと、そそくさと厠へ向かったのであった。